作用機序と薬力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 04:07 UTC 版)
イボガインの作用機序として、脳の腹側被蓋野 (VTA) でグリア細胞株由来神経栄養因子 (GDNF) を活性化するという経路が提唱されている。この説はエタノールを用いたラットでの前臨床的研究に主に基づいており、そこでは40 (mg/kg)のイボガインを投与すると、GDNFによるRNA発現量が増加し、エタノールの摂取量を減らしても神経毒性や細胞死が見られなかったとしている。 イボガインはα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体に対する非競合的な受容体拮抗薬であり、中程度の親和力で結合する。なお、イボガイン以外にも複数のα3β4拮抗薬が知られており、ブプロピオン (Zyban) やメカミラミンはニコチン依存症の治療に用いられている。このα3β4拮抗作用から依存症を低減する効果が理解できる。α3β4チャネルとNMDAチャネルは互いに似ており、管腔中に有る、それらのチャネルの結合部位には種々の同じリガンド(例えばデキストロメトルファン (DXM) など)が結合する。ある研究では、イボガインの抗依存症作用はNMDA受容体拮抗薬として作用する事による可能性が有ると指摘している。しかしながら、18-メトキシコロナリジン (18-MC) などのようにα3β4チャネルとNMDAチャネルに選択性を持つリガンドには、活性の漸減は見られない。 オピオイドおよびグルタミン酸作動性の系に対する作用も、イボガインの抗依存症効果に寄与しているのではないかと考えられている。イボガインで治療を受けた人は、投与後およそ1時間以内にオピオイドの禁断症状が休止したと報告している。 イボガインは弱い5-HT2A受容体リガンド、またσ2受容体拮抗薬でもある。
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