体節制との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 21:38 UTC 版)
軟体動物はその発生などから環形動物との類縁性が主張され、また環形動物は体節制の観点から節足動物と近縁と考えられていたことがある。これを認めると3群は近縁であることになるので、軟体動物も本来は体節制を持っていて、2次的にそれを失ったものではないかとの推測があった。その根拠の一つがこの類の構造である。ただし、軟体部には体節はない。軟体部にも体節(に似た構造)が見られるのは、現生の軟体動物では単板綱のネオピリナ類とその近縁種のみである。 確かに背面の殻の並びは甲殻類の背甲(例えばダンゴムシ)を思わせ、刺束を持つものではその配列もこれと連動する。また内部では殻と筋肉の配列が連動しており、やはり強く体節制を示唆すると取れる。しかし、鰓は対をなしてはいるものの、殻の配置とは無関係であり、またその対も完全なものではない。内部では神経系がハシゴ型ではあるが、その区切りは他の臓器とは必ずしも連動していない。また体腔は限定され、また排出器にも体節制を思わせる特徴はない。節足動物との類縁性が否定されたこともあり、近年では軟体動物は環形動物と近縁ではあるが、両者が分化した後に環形動物で独自に体節制が発達した、という考えに傾きつつあるようである。
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