体勢と這う・歩く
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 07:34 UTC 版)
這うか歩くような動きをする動物の一般形を考えた場合、多分それは左右対称動物である。体は前後に細長く、腹面と背面の区別があって、進行方向が決まっているものである。これだけの特徴のみを持つ動物が、基盤上に乗った形で前進するとすれば、体をうねらせるか何かすることになろう。この姿は「這う」である。多くの動物群では、より巧妙に移動するために様々な器官を発達させている。しかし、「歩く」ためには、複数の付属肢、それも折り曲げたり伸び縮みしたりし、なおかつ、ある程度の荷重に耐えられるものを備えなければならない。したがって、「這う」に比べて「歩く」は非常に高度な課題である。実際、それが可能なのは節足動物と脊椎動物に限られる。 さらに、そのような付属肢があっても、それだけでは歩くことは難しい。例えば、ムカデやトカゲはしっかりした脚を持つが、やはり這っているように見える。動物の体は一般に繰り返し構造によって前後に細長く作られている。節足動物なら体節制があり、脊椎動物においても脊椎骨などに体節構造がある。この構造で複数対の付属肢がある場合、付属肢が体を支えても、その間の部分は垂れ下がりかねない。また、付属肢が基盤面を押した力は、体を前進させるのではなく、その付属部位を横に押すことになりがちであり、結果としてからだが左右に曲がりながら進むことになる。まっすぐに歩くためには体を前後に縮め、それらの体節間をしっかり腱や筋で支えて固める必要があるのである。
※この「体勢と這う・歩く」の解説は、「匍匐」の解説の一部です。
「体勢と這う・歩く」を含む「匍匐」の記事については、「匍匐」の概要を参照ください。
- 体勢と這う歩くのページへのリンク