企業会計における不良債権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:05 UTC 版)
「不良債権」の記事における「企業会計における不良債権」の解説
企業が保有する債権は、決算期毎に回収可能性を査定し、回収が困難な部分については貸倒引当金を設定して費用としたり(一般に間接処理と呼ぶ)、回収が不可能な部分については貸倒損失として減損処理をしたり(一般に直接処理と呼ぶ)する必要がある。これらの損失処理をした結果、利益が減少又は損失が拡大し、結果として自己資本が減少することにつながり得る。この処理方法は会社法(計算規則)や企業会計原則等において規定されている。学問でも異論が少ない処理であり、国際会計基準にも合致する。また、法人税法や所得税法においても、この処理が容認されている。 一般に、不景気になると、貸出先の経営状態が悪くなり不良債権が増加するので、引当金は増え利益を圧迫する要因となる。好景気になると、貸出先の経営状態が良くなり不良債権が減少するので、引当金を取り崩し利益とすることができる。 不良債権の存在は、銀行やノンバンク等の貸金業のバランスシートを大きく毀損する要因になりえる。たとえば、80円の借入金(銀行では預金)と20円の自己資金を元手に、90円を貸し出し10円を現金として置いておくとする。もし、貸出の1割(9円)が返済されなくなった場合、自己資金が11円になることになる。この場合、貸出額のたった1割であっても、自己資金に大きな影響を与えてしまっており、貸金業において経営上の大きな課題となりえる事が分かる。
※この「企業会計における不良債権」の解説は、「不良債権」の解説の一部です。
「企業会計における不良債権」を含む「不良債権」の記事については、「不良債権」の概要を参照ください。
- 企業会計における不良債権のページへのリンク