仮説が要請された背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:21 UTC 版)
「ステライルニュートリノ」の記事における「仮説が要請された背景」の解説
これまで行われた全ての実験結果は、誤差の範囲内で、生成され観測されたニュートリノが左手系のヘリシティ(モーメントに対して反並行のスピンを持ち、全ての反ニュートリノが右手系のヘリシティを持つことを示している。質量がないとする極限では観測可能な2つのカイラリティのうち、いずれかの粒子で1つしか観測されないことを意味する。ヘリシティ(とカイラリティ)が一方だけというのは粒子の相互作用の標準モデルが成り立っていることを示す。 ところが、近年のニュートリノ振動のような実験結果は、ニュートリノがゼロではない質量を持ち、標準モデルでは予想しない、まだ知られていない新しい物理学があることを示唆する。右手系のヘリシティーを持つニュートリノと左手系のヘリシティの反ニュートリノの予期しない質量は、粒子が光速で移動していなければヘリシティが必ずしも相対的不変にはならないから(その粒子よりも高速で移動できれば反対向きのヘリシティが観測される可能性がある)と説明される。 いまだに左手系のニュートリノしか観測されておらず、反ニュートリノは全て右手系である。カイラリティは粒子の基本的な性質、相対論的な不変量であり、それはすべての参照モデルでの粒子の速度と質量と同様に疑うべくもない。 残る問題は、ニュートリノや反ニュートリノがカイラリティだけで区別できるか、あるいは、右手系のニュートリノと左手系のニュートリノは別々の粒子として存在するのか、ということである。
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