人権への制限・制約原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 09:42 UTC 版)
人権は原則として尊重されるべきで「不可侵」とされているものだが、制限の無い人権同士では矛盾・衝突するために「他人の権利を不当に侵害しない限り」「本人保護のため」には常に制限されている。そのため、人権は絶対無制限でなく、日本国憲法においても人権同士の衝突調整基準の「公共の福祉に反しない限り」で制限している。例えば、表現の自由や人権は尊重されるが交通渋滞を起こすような路上での行使は、他者の「移動する自由」を侵害しているために許されない。また集合住宅において、大声で歌ったり足を踏み鳴らしたりする権利は制限される。また、授業中に、教師の許可なく教室の外に出る権利は制限される。あるいは、犯罪を犯した時は、身体の自由へ制限される(逮捕される)場合がある。このように人権は、少なくとも人権の相互調整という観点から一定の規制は免れ難い。 近代立憲主義では法律によって人権の限界が認定されるが、法律による人権侵害の可能性をどう考えるかが問題となる。 かつては議会に最終判断権が委ねられ、憲法は「法律の範囲内において」権利を保障するという形式が一般的にとられていた。しかし、この方法では議会のあり方によっては人権保障は実のないものとなる。 アメリカ合衆国憲法のほか、第二次世界大戦後に制定された日本国憲法やドイツ連邦共和国基本法では、立法部といえども侵害できない部分をも含む形での保障を採用している。この場合でも私的権利の行使や私的活動が絶対的で無制約というわけではなく、立法による制約の対象となりうるが、ただそれが一定の限度を超える場合には違憲という判断を受けることとなる 「法律の留保」および「公共の福祉」を参照
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