亜鋏状の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 09:26 UTC 版)
一部の節足動物の付属肢は、末端の肢節が爪状に特化したものの、一個前の肢節がそれと向かい合う突起はなく、もしくは突起がハサミになれないほど短いものがある。この場合、先端の肢節は一個前の肢節の突起ではなく、一個前の肢節の片側の縁で先端の肢節の内側とかみ合い、全体が鎌に似た構造となる。外見的には歩脚状と鋏状の中間形態に当たるようで、この構造は亜鋏状(亜ハサミ状、subchelate)と呼ばれる。甲殻類の中では、端脚類(ワレカラやヨコエビなど)の咬脚・シャコ類(口脚類)の捕脚などにそのようなものが見られる。 鎌のような捕脚をもつシャコ類 カマキリの前脚 ケジラミ 昆虫類は非常に種数が多く、その付属肢の構造にも多様なものが見られるが、不思議に単独でハサミとなった付属肢をもつものはほとんど無く、前述の僅かな例しか見当たらない。鎌状/亜鋏状の前脚をもつものが散見される程度で、カマキリ、カマキリモドキ、カマバエ(カマキリバエ)、水生カメムシ類、Carcinocorini族以外のヒゲブトサシガメなどの例があり、いずれも獲物を捕らえ保持するための器官として発達している。哺乳類に寄生するシラミは、宿主の毛を掴めるように、全ての脚の先端が亜鋏状になっている。一部のコバチは、頑丈で鎌のような後脚をもつ。また、前述のカマバチの中でも、一部の群では第5跗小節の突起が発達せず、亜鋏状に近い構造となる。 前述の鋏角類の中でも、鋏角は鋏型でないものもある。例えば四肺類(クモ、ウデムシ、サソリモドキ、ヤイトムシなど)の鋏角は亜鋏状で、折りたたみナイフのような牙となっている。
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