二次ウイルス血症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 08:37 UTC 版)
二次ウイルス血症は、感染した組織からウイルスが血液やリンパ液などの循環系に再度侵入することを意味する。 狂犬病の例では、一次ウイルス血症のため全身にウイルスが運ばれ、やがて第二の感染部位である中枢神経系へ到達する。狂犬病特有の中枢神経障害は、この中枢神経系への感染によって発症する。この感染した中枢神経組織、特に脳でウイルスが増殖し、再び血中へ排出される。これが二次ウイルス血症である。発症後は脳でウイルス排出が生じている。狂犬病では発症から1週間以内で中枢神経障害による呼吸障害などで死亡するが、免疫の獲得には時間を要するため、狂犬病の例では二次ウイルス血症や神経障害発症後ではワクチンはほぼ間に合わない(Jeanna Gieseが治癒した唯一の例である)。したがって、二次ウイルス血症前のワクチネーションが有効となる。 ウイルスは細胞内のDNA転写を利用して増殖するが、このDNAを感染した細胞から排除できないため完全にウイルスの増殖を止めることができない。このため発症後は変質した組織や細胞の除去、薬剤投与によりDNAの発現を最小限に抑える細胞活動の抑制などが治療の中心となるが副作用も強い。これを治療に代わって行うのが免疫系であり、抗ウイルス治療では極めて重要となる。
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