主たる債務者に生じた事由の効力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 21:54 UTC 版)
「保証」の記事における「主たる債務者に生じた事由の効力」の解説
付従性により、主たる債務について生じた事由は原則として保証債務にも効力が及ぶ。 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる(457条1項)。 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる(457条2項)。2017年の改正前の旧457条2項は「保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。」と規定していたが、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で相殺の抗弁に限らず主債務者の有する抗弁事由一般について保証人も主張することができるとする従来からの法理が明文化された。 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる(457条3項)。2017年の改正前の旧457条2項は「保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。」と規定していたが、旧457条2項の「対抗することができる」は、保証人に主債務者の相殺権の行使(主債務者の権利を処分すること)まで認める趣旨の規定ではなく、主債務の相殺によって債務が消滅する限度で保証人も履行を拒絶することができるにとどまると解されていた。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)では保証人は主たる債務者が相殺等でその債務を免れるべき限度において債権者に対して債務の履行を拒むことができるという履行拒絶権であることが明文化され取消権や解除権と併せて規定された(457条3項)。 ただし、以下の事由は保証債務に影響しない。 主たる債務が加重されても保証債務は加重されない(448条)。 主たる債務の消滅時効が完成している場合、主たる債務者が時効利益を放棄しても時効利益の放棄は相対効であるから、保証人は債務の消滅を主張できる(保証人との間の保証債務は消滅)。
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