丸山真男のナショナリズム批判
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「国民的歴史学運動」の記事における「丸山真男のナショナリズム批判」の解説
運動と同時期の1950年代初頭、日本のナショナリズムについての論考を発表した人物に丸山真男がいるが、日本における新たなナショナリズムの形成に極めて悲観的な捉え方をしたことで知られる。石母田が焦点に当てていた農村共同体はファシズムの温床につながったと述べており、そのままでは新たなナショナリズムの基盤にはならないと指摘した。 なかんずく1951年に発表した論文『日本におけるナショナリズム』では、「前期的」なナショナリズムはそのままでは、民主革命と結び付いた新たなナショナリズムになり得ないと断言した。その上で、革新陣営がこれを将来の民族意識の萌芽と誤認したり、政治目的に動員したりするのであれば、後々手痛い反作用があると警告するに至る。 同様の批判は丸山以外にねずまさしも行なっており、運動の中で生まれた歴史物語「民族の叫び」について、「封建制度へ逆戻りする攘夷と今日の民族の独立とを混同して考えているが、これはかつての軍部の『米鬼英鬼』の考えと少しもかわらない」と釘を刺している。いずれにせよ、丸山らの警告は所感派の実質的敗北による運動の終焉により、図らずも現実のものとなった。
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