中央海嶺-中央海嶺(R-R)型トランスフォーム断層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/06 14:24 UTC 版)
「トランスフォーム断層」の記事における「中央海嶺-中央海嶺(R-R)型トランスフォーム断層」の解説
トランスフォーム断層はその形状から当初は横ずれ断層と考えられてきた。しかし、通常の横ずれ断層であれば、その変位量は、中央部から断層端になるにつれて徐々に小さくなる。しかし、中央海嶺間の断層においては、海嶺間のみ変位量が大きく、海嶺を越えるところで急激に変位量が小さくなっている。海底の残留磁気研究などにより、海底地殻の形成年代がこの挙動が明らかになってきた。この断層の生成理由についてウィルソン(J.T.Wilson)は、大陸が分裂する際にもともと中央海嶺に交差する弱い部分があって、それが大陸移動の際に割れ目となった横ずれ状の断層と考えた。これは1965年に、ネイチャー誌に発表され、トランスフォーム断層と命名、定義したのが学史での位置づけである。つまり、中央海嶺にて生成されたプレートが「発散」、言い換えればプレートが拡大しようとしたときに発生する中央海嶺を横切る割れ目として中央海嶺-中央海嶺(R-R)型トランスフォーム断層は生成される。大陸移動において大きな大陸が地溝帯で分裂する以前から地溝帯に交差する大陸の弱い部分があって、それが大陸移動による力のかかり具合によって割れ目となり、地溝帯のあった部分が中央海嶺になった際に中央海嶺を横切る横ずれ状の断層になって海嶺軸がずれていくことになる。 仮に通常の横ずれ断層とすれば、R-R型の場合、海嶺軸に関係なく単純に横ずれを起こし、海嶺軸間の距離は離れていくものとなる。トランスフォーム断層の場合は、海嶺軸に対して交差して断層の両側の地殻が逆方向に動いており、海嶺軸間の距離は大きな変化を起こさない。 R-R型トランスフォーム断層の存在する場所は、具体的には、中央海嶺を横切るいわゆる断裂帯(fracture zone)の名称で呼ばれる場所であるが、狭義には、広義の断裂帯のうち、海嶺の中央部分を横切って地震を起こす現在活動的な部分をトランスフォーム断層といい、トランスフォーム断層の外側の痕跡部分を断裂帯という。狭義の断裂帯は、トランスフォーム断層の痕跡にすぎず、地震はほとんど起こらない。
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