不完全性定理の代数化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 10:04 UTC 版)
「ゲーデルの不完全性定理」の記事における「不完全性定理の代数化」の解説
不完全性定理は他の論理構造と同じく抽象代数による簡易な表現が可能である。リンデンバウム代数(英語版)を次のように定義する。 理論 T {\displaystyle T} のリンデンバウム代数 T L {\displaystyle T_{L}} は,文に順序構造を入れたものである。 順序は、もし理論 T {\displaystyle T} で A ⇒ B {\displaystyle A\Rightarrow B} を証明できるならば A ≥ B {\displaystyle A\geq B} と定義される。 A {\displaystyle A} と B {\displaystyle B} の順序が等しいなら、 A {\displaystyle A} と B {\displaystyle B} を同一視する。 T {\displaystyle T} で無条件に証明可能な文 A {\displaystyle A} は,この順序で最小元となり、 T {\displaystyle T} で ¬ A {\displaystyle \lnot A} を証明できるとき、 A {\displaystyle A} はこの順序の最大元となる。よって最大元でも最小元でもないものは独立命題のみ。つまり不完全であるためにはリンデンバウム代数の位数は3以上であることが要請される。一方 B {\displaystyle B} を,一階述語論理のリンデンバウム代数とすると、どんな理論のリンデンバウム代数 L {\displaystyle L} についても,あるイデアル I ⊆ B {\displaystyle I\subseteq B} が存在して、 L = B / I {\displaystyle L=B/I} と表される。よって T {\displaystyle T} が生成するイデアル ( T ) {\displaystyle (T)} が T {\displaystyle T} が生み出す定理全体となる。このとき、理論 T {\displaystyle T} のリンデンバウム代数は、剰余代数 B / ( T ) {\displaystyle B/(T)} である。ここでロビンソン算術に対応する B {\displaystyle B} の部分集合を Q {\displaystyle Q} とする。このとき、ゲーデルの第一不完全性定理は次のようにして表現される。 ( Q ) {\displaystyle (Q)} を含む再帰的可算素イデアル p ⊂ B {\displaystyle p\subset B} は存在しない。 他に、ザリスキ位相や素スペクトルによる表現が知られている。
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