ゲーデルの不完全性定理とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 方式・規則 > 理論・法則 > 定理・公理 > 定理 > ゲーデルの不完全性定理の意味・解説 

ゲーデルの不完全性定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/27 06:47 UTC 版)

ゲーデルの不完全性定理(ゲーデルのふかんぜんせいていり、: Gödel's incompleteness theorems: Gödelscher Unvollständigkeitssatz)または不完全性定理とは、数学基礎論[1]コンピュータ科学(計算機科学)の重要な基本定理[2]。(数学基礎論は数理論理学超数学とほぼ同義な分野で、コンピュータ科学と密接に関連している[3]。) 不完全性定理は厳密には「数学」そのものについての定理ではなく、「形式化された数学」についての定理である[4][注 1]クルト・ゲーデルが1931年の論文で証明した定理であり[5]有限の立場英語版形式主義)では自然数論無矛盾性の証明が成立しないことを示す[3][5]。なお、少し拡張された有限の立場では、自然数論の無矛盾性の証明が成立する(ゲンツェンの無矛盾性証明英語版[3][注 2]

数学基礎論研究者の菊池誠によると不完全性定理は、20世紀初め以降に哲学から決別した数学基礎論の中で現れた[6][注 3]。コンピュータ科学者・数理論理学者トルケル・フランセーン[7]および数学者・数理論理学者の田中一之[7]によると、不完全性定理が示した不完全性とは、数学用語の意味での「特定の形式体系Pにおいて決定不能な命題の存在」であり、一般的な意味での「不完全性」とは無関係である[8]。不完全性定理を踏まえても、数学の形式体系の公理は真であり無矛盾であるし[9][注 4]、数学の完全性も成立し続けている[8]。しかし“不完全性定理は数学や理論の「不完全性」を証明した”といった誤解や、“数学には「不完全」な部分があると証明済みであり、数学以外の分野に「不完全」な部分があってもおかしくない”といった誤解が一般社会哲学宗教神学等によって広まり、誤用されている[10][注 5]

数学の「無矛盾性」を証明することを目指したヒルベルト・プログラムに関して「不完全性定理がヒルベルトのプログラムを破壊した」という類の哲学的発言はよくあるが、これは実際の不完全性定理やゲーデルの見解とは異なる、とフランセーン達は解説している[11]。正確には、ゲーデルはヒルベルトと同様の見解を持っており、彼が不完全性定理を証明して示したのは、ヒルベルトの目的(「無矛盾性証明」)を実現するためには手段(ヒルベルト・プログラム)を拡張する必要がある、ということだった[11]。これについて日本数学会編集の『岩波数学辞典』では「彼〔ゲーデル〕の結果はヒルベルトの企図を直接否定するものではなく,実際この定理の発見後に無矛盾性証明のための様々な方法論が開発されている」と記されている[5]

概要

ゲーデルの不完全性定理は、ゲーデルが1931年の論文で証明した次の内容である[5]

  • 数学原理(プリンキピア・マセマティカ)』の体系や公理的集合論の中には、「証明も反証もできない「自然数論命題」」が存在する。
  • また、これらの体系に公理を追加しても公理が有限個であれば、前述の命題の存在を解消できない。

より正確には、不完全性定理とは次の2つの定理(それぞれ第一/第二不完全性定理と呼ばれる)の総称である[5]

第一不完全性定理 ― "初等的な自然数論"を含むω無矛盾な公理的理論

この節には複数の問題があります改善ノートページでの議論にご協力ください。
  • 出典がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源が必要です。2023年3月
  • 独自研究が含まれているおそれがあります。2023年3月

第1不完全性定理はロビンソン算術を含んでいれば十分である。またω無矛盾性の仮定は単なる無矛盾性の仮定に弱められる(後述)。第2不完全性定理はロビンソン算術にΣ1論理式に対する数学的帰納法公理図式を追加した体系(





固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」からゲーデルの不完全性定理を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からゲーデルの不完全性定理を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書からゲーデルの不完全性定理 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ゲーデルの不完全性定理」の関連用語

ゲーデルの不完全性定理のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ゲーデルの不完全性定理のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのゲーデルの不完全性定理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS