三次形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 16:38 UTC 版)
エルンスト・セルマーは、三次形式では局所大域原理が必ずしも成り立たないということを、例を挙げて示した。実際、3x3 + 4y3 + 5z3 = 0 は全ての素点で局所解を持つものの、大域解は持たない。 ヒース=ブラウン(英語版) (Roger Heath-Brown) は14個以上の変数を持つ三次形式が 0 に等しいという方程式は、常に大域解を持つことを示した。この結果は、先行するダベンポート(英語版)(Harold Davenport)の結果の改良である。したがって、そのような不定方定式では、局所大域原理は自明に成り立つ。 非特異な形式に限るのであれば、さらに良い結果がある。ヒース=ブラウンは、10個以上の変数を持つ非特異三次形式が 0 に等しいという方程式は、常に大域解を持つことを示した。10という数は、この方面での結果で最良のものであることも知られている。すなわち、9個の変数を持つ非特異三次形式が 0 に等しいという方程式のうち、大域解を持たないものが存在する。一方で、クリストファー・ホーリーは、9個以上の変数を持つ非特異三次形式では、常に局所大域原理が成り立つことを示した。ダベンポート、ヒース=ブラウン、ホーリー等は皆、この種の結果を証明するために円周法(英語版)(サークル・メソッド)を用いている。ユーリ・マニンのアイデアによれば、三次形式において局所大域原理の妨げになっているものは、ブラウアー群と密接な関係を持つとされるが、未だ完全な理論は構築されていない。
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