一般の可換環上での判別式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 03:27 UTC 版)
係数が一般の可換環上の代数方程式に対しても、判別式を定義することができる。ただし、環が整域でない場合、そのような環においては除法が常には定義されないから、行列式の第1列を最高次係数 a n {\displaystyle a_{n}} で割る替わりに、最高次係数を 1 に置き換えなければならない。この一般化された判別式は代数幾何学において基本的な次の性質を持つ。 f を係数を可換環 A に持つ多項式とし、D をその判別式とする。φ を A から体 K の中への環準同型とし、φ(f) を f の係数を φ によるそれらの像によって置き換えて得られる K 上の多項式とする。すると φ(D) = 0 であるのは f と φ(f) の次数の差が少なくとも 2 であるかまたは φ(f) が K の代数閉包において重根を持つとき、かつそのときに限る。1 つ目のケースは φ(f) が無限遠点で重根を持つと解釈できる。 この性質が応用される典型的な状況は A が体 k 上の(一変数あるいは多変数)多項式環であり φ が A の不定元への k の体拡大 K の元の代入であるときである。 例えば、f が実係数の X と Y の二変数多項式であって、f = 0 は平面代数曲線の陰方程式であるとしよう。f を係数が X に依る Y の一変数多項式と見ると、判別式は根が特異点、Y 軸に平行な接線との点、Y 軸に平行な漸近線のいくつか、の X 座標であるような、X の多項式である。言い換えると Y-判別式と X-判別式の根の計算によって変曲点を除いて曲線のすべての注目すべき点を計算できる。
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