一歩前へ出て雪山をまのあたり
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冬 |
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評 言 |
この作品は、作者の母校の糸魚川市の下早川小学校に句碑となっている。平成4年秋のことである。この学校では作者を偉大な先輩として敬い、子どもたちも毎月俳句を作り続けて廊下に掲示している。俳句教室も年に二回行われ、筆者も協力している。また、年度末に発行される記念文集の題名も『一歩前へ』である。歴代の校長先生の訓示も、「もし、苦しいことがあったら、あの句碑に書いてあるとおり一歩前へ踏み出してみよう。そうすると前がはっきりと見えてくる。希望を持って進んでください」という内容が多いと聞く。 作者は、この小学校在校中はもとより、中学校に入ってからもひどい「どもり」だったそうである。そんな作者を常に励ましてくれたのは、ふるさとの山河とそこに住むやさしい素朴な人たちであったに違いないから、この句碑はまさに所を得て建立されたというよりほかにない。子どもたちの人生の目標になっているとすれば、作者にとってこれ以上の喜びはないだろう。 作者によればこの句は昭和56年の現代俳句協会賞受賞作品の中の一つだった、 雪山の障子をひらきたるかたち の推敲だという。旦暮に仰ぐ雪山をもっとじかに、素のかたちで詠めないものかということで一年以上苦しんでの治定とのこと。すでに世評の高い作品であっても、いま一つしっくりとこないもどかしさをそのままにしないでそれに食らいついていく作者の姿勢にこそ、私たちは学ぶべきであろう。 |
評 者 |
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備 考 |
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