レーザー核融合の原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 10:07 UTC 版)
「レーザー核融合」の記事における「レーザー核融合の原理」の解説
球状の燃料ペレット(燃料球、ターゲット)を考える。この燃料球は球殻部分が重水素と三重水素の固体となっていて、球内部はそれらの気体で満たされている。 これに非常に強いレーザー光を当てると、急激な表面部分の加熱、プラズマの膨張により、その反作用として燃料球自身が内部へ爆縮を起こし、内部の圧力は1億気圧にも達する。球殻部分はこの圧縮により球中心に圧縮され主燃料となる。この圧縮による衝撃波などにより、中空の気体部分は1億度以上という高温になる。 爆縮には高い球対称性が要求されるが、レイリー・テイラー不安定性などの流体力学的不安定性は球対称爆縮の障害となっている。 この高温下で以下の核融合反応が進む(この方式を直接照射・中心点火方式と呼ぶ)。 D + T → 4He (3.52) + n (14.06) Dは重水素 (Deuterium)、Tは三重水素 (Tritium)、nは中性子、αはアルファ粒子(ヘリウム原子核)である。 アルファ粒子の発生はさらに系を過熱させ、それが核融合反応をさらに促進する(核融合反応の点火)。これにより、主燃料部分も核融合反応を開始し、最初に与えたレーザー光によるエネルギーよりずっと多いエネルギーを発生することとなる。
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