レーガンの権利論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:20 UTC 版)
レーガンの権利論はカントによる義務論の延長線上にあるもので、功利主義を含む帰結主義とは哲学上、対立する立場にある。レーガンはカントが唱えた「人格の尊重の義務」という原理を修正し、「人格」に変わって「生の主体 (subject of life)」という概念を打ち出した。カントは道徳行為ができる者を「人格」の条件としたが、レーガンは道徳行為ができる者 (moral agents) と道徳行為を受ける者 (moral patients) を配慮の対象となる条件とし、道徳行為ができるかどうかということではないとした。幼児や極端な精神障害者などは、道徳行為ができる者ではないが、道徳的配慮を受けるべき存在である。同様に動物についても生の主体であれば道徳的配慮を受けるべきであり、権利を持つ存在であるということになる。生の主体となる基準は固有の価値 (inherent value) を持つかによって決まり、レーガンは少なくとも1歳以上の正常な哺乳類であれば条件を満たすであろうと述べているが、レーガンの権利論そのものから具体的な判断を導きだすのは困難であり、その基準は必ずしも明確なものであるとは言えない。
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