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ルース・スタイルス・ガネット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 12:38 UTC 版)

ルース・スタイルス・ガネット
(Ruth Stiles Gannett)
誕生 1923年8月12日
アメリカ合衆国 ニューヨーク州ブルックリン区
死没 (2024-06-11) 2024年6月11日(100歳没)
アメリカ合衆国
言語 英語
最終学歴 ヴァッサー大学
活動期間 1948年 - 1961年
ジャンル 児童文学
代表作 My Father's Dragon
主な受賞歴 ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン英語版春の児童図書賞(1948年)
ニューベリー賞優秀作品(1949年)
デビュー作 『My Father's Dragon』
配偶者 ピーター・カーンドイツ語版
ウィキポータル 文学
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ルース・スタイルス・ガネット英語: Ruth Stiles Gannett[1]1923年8月12日[2] - 2024年6月11日[3])は、アメリカの児童文学作家[3]。『My Father's Dragon』『Elmer and the Dragon』『The Dragons of Blueland』(日本語題『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』)の3部作の著者として知られる。

経歴

1923年8月、ニューヨーク州ブルックリン区で誕生した[4]。父はジャーナリスト、母はイラストレーターであり、書くことが自然な家庭に育った[5]。ガネット自身も3歳の頃から、当時通っていた保育学校が創作活動を重視していた影響で[1][6]、物語を考えることを好んでいた[7]。1944年にヴァッサー大学を卒業した後[8]、医学や戦中の兵器の研究所に勤めたが、諸事情で数か月で退職した[9]

22歳のとき、アルバイトの傍らで[7]、処女作となる『My Father's Dragon』(エルマーのぼうけん)を書き始め[4]、児童文学に詳しい父、挿絵画家の義母(離婚した父の再婚相手)、後に夫となる恋人の画家ピーター・カーンドイツ語版の協力を経て[4]、1948年に『My Father's Dragon』を刊行した[10]。同1948年、当時ニューベリー賞と並んで権威のあったニューヨーク・ヘラルド・トリビューン英語版春の児童図書賞を受賞し[4][11]、翌1949年にはニューベリー賞優秀作品にも選ばれた[12][13]

1951年までに、『Elmer and the Dragon』(『エルマーとりゅう』)、『The Dragons of Blueland』(『エルマーと16ぴきのりゅう』)を著した。『My Father's Dragon』を含むこの計3部作は10か国語に翻訳され[12]、世界的ベストセラーとなった[3]。数々の外国語訳の中でも、日本語訳は最初の外国語訳であり、ガネットにとって印象深いものとなった[5]

このシリーズ刊行後、職業作家にはならず[14]、執筆活動はほとんど行わなかった[7]。『My Father's Dragon』などを執筆した理由は「子供の頃の物語を作る楽しみを、大人になってまた味わいたくなった[15]」「子供の頃のように自分が楽しむためであり、仕事としてではない[16]」「作家になりたいと思ったことは一度もない[15][16]」と語っていた。その一方で差別に反対し、ワシントンでの全米黒人地位向上協会の活動や、核軍縮運動にも参加した[7][13]

私生活では1947年に、『My Father's Dragon』刊行に協力したピーター・カーンと結婚した[13]。「大人になったら、ずっと『お母さん』をやりたいと思っていた[17]」と語っており、7人の娘の母としての生活を大切にした[14]。2018年までに、孫8人、曾孫1人に恵まれた[18]。2024年6月にアメリカで、満100歳で死去した[19]

著作

  • My Father's Dragon(1948年)[13]
  • The Wonderful House-boat-train(1949年)[13]
  • Elmer and the Dragon (1950年)[13]
  • The Dragons of Blueland (1951年)[13]
  • Katie and the Sad Noise(1961年)[13]

脚注

  1. ^ a b 南谷 & 天田 2018, pp. 72–73
  2. ^ 前沢 2015, p. 45
  3. ^ a b c 「「エルマーのぼうけん」ルース・スタイルス・ガネットさん死去」『読売新聞読売新聞社、2024年6月15日、東京朝刊、30面。
  4. ^ a b c d エルマーを生み出した人”. PLAY! MUSEUMとPARK. 2024年6月25日閲覧。
  5. ^ a b 三枝 2011, p. 75
  6. ^ 前沢 2015, p. 29
  7. ^ a b c d 塩田彩「ひと ルース・スタイルス・ガネットさん 2回目の来日 児童文学「エルマーのぼうけん」作者」『毎日新聞毎日新聞社、2018年8月17日、東京朝刊、6面。
  8. ^ 前沢 2015, p. 173
  9. ^ 前沢 2015, pp. 110–111
  10. ^ 書籍『エルマーのぼうけん展』”. BlueSheep. 2024年6月25日閲覧。
  11. ^ 前沢 2015, p. 137
  12. ^ a b Joe Wilensky (2008年11月6日). “Kids'Book Fest, Nov. 8, returns to 'My Father's Dragon' for theme of adventure” (PDF) (英語). Family Reading Partnership. p. 3. 2014年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月15日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g h 前沢 2015, pp. 174–175
  14. ^ a b 「シル マナブ 教育「エルマーのぼうけん」日本語版刊行60周年 シンプルで力強い物語 シリーズ3作 累計770万部超 体験基に構成「エルマーは作者そのもの」」『中日新聞中日新聞社、2023年8月22日、朝刊、12面。
  15. ^ a b 前沢 2015, p. 145
  16. ^ a b 南谷 & 天田 2018, p. 74
  17. ^ 前沢 2015, p. 146
  18. ^ 野村杏実「ひと ルース・S・ガネットさん 世界中で愛される児童書「エルマーのぼうけん」の作者」『朝日新聞朝日新聞社、2018年8月29日、東京朝刊、2面。
  19. ^ 「「エルマーのぼうけん」ルース・ガネットさん死去」『産経新聞産業経済新聞社、2024年6月15日、東京朝刊、25面。

参考文献

  • 前沢明枝『「エルマーのぼうけん」をかいた女性 ルース・S・ガネット』福音館書店、2015年11月20日。ISBN 978-4-8340-8193-0 
  • 三枝明子「MOE GARDEN 今最も旬なひと ルース・スタイルス・ガネット 子どもの心で書かれた『エルマーのぼうけん』シリーズ」『MOE』第33巻第3号、白泉社、2011年2月3日、75頁、大宅壮一文庫所蔵: 100092468 
  • 南谷佳世・天田泉 編「来日記念インタビュー『エルマーのぼうけん』とルース・スタイルス・ガネットさん」『MOE』第40巻第10号、2018年9月3日、71-77頁、大宅壮一文庫所蔵: 100092559 


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