ラグランジアン部分多様体、あるいはその他の部分多様体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 06:14 UTC 版)
「シンプレクティック多様体」の記事における「ラグランジアン部分多様体、あるいはその他の部分多様体」の解説
シンプレクティック多様体の部分多様体には、幾何学的に自然なものがいくつか存在する。 シンプレクティック部分多様体(これは各偶数次元において存在しうる)は、もとのシンプレクティック多様体が持っているシンプレクティック形式をその部分多様体に制限した形式が、その部分多様体上のシンプレクティック形式となる(従ってその部分多様体自身がシンプレクティック多様体となる)ような部分多様体である。 イソトロピック部分多様体(isotropic submanifold)は、もとの多様体のシンプレクティック形式を部分多様体上へ制限したものが零写像となるもの(即ち、各接空間が多様体全体の接空間のイソトロピックな部分空間となること)を言う。 同様に、部分多様体に対して各接空間がコイソトロピック(coisotropic)(イソトロピック部分空間の双対)であるとき、その部分多様体はコイソトロピックであるという。 ラグランジアン部分多様体は、シンプレクティック多様体 ( M , ω ) {\displaystyle (M,\omega )} の部分多様体であり、シンプレクティック形式 ω {\displaystyle \omega } の L ⊂ M {\displaystyle L\subset M} への制限が 0 となっている、つまり ω | L = 0 {\displaystyle \omega |_{L}=0} で dim L = 1 / 2 ⋅ dim M {\displaystyle {\text{dim }}L=1/2\cdot {\text{dim }}M} である部分多様体のことを言う。ラグランジアン部分多様体は、最大イソトロピック部分多様体である。 イソトロピックな部分多様体のうちでもっとも重要なものはラグランジアン部分多様体である。定義により、ラグランジアン部分多様体は、最も次元が大きな(つまり、もとのシンプレクティック多様体の次元の半分であるような)イソトロピック部分多様体である。顕著な例の一つが、積シンプレクティック多様体 (M × M, ω × −ω) 上に描かれるシンプレクティック同相写像のグラフが、ラグランジアン部分多様体になる。これらの交わりは滑らかな多様体による剛体性を示さない。これは、アーノルド予想によれば、部分多様体のベッチ数の和は、滑らかな場合のオイラー標数というよりも、滑らかなラグランジュ部分多様体の自己交叉の数の下限として与えられることからわかる。
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