ポンドの構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/25 21:13 UTC 版)
ポンド(池)は底を粘土や防水処理したコンクリートなどで固めて、その上面を黒色に塗るなどして太陽光エネルギーを吸収しやすくする。この池の下部に高濃度の食塩水を入れることで、下部対流層を作る。この層の上に、上部の方が食塩濃度が薄くなる層を作ることで、非対流層が形成される。更に、その上に真水を入れることによって上部対流層を作る。以上の3つの水の層を作る。 下部対流層(蓄熱層, Lower Convective Layer)は、太陽で温められた池底の熱を保持するための層で蓄熱層とも呼ばれる。この層は濃度20%程度の食塩水を用いる。層内で組成が等しく対流が起こるため、下部対流層の温度は均一で、夏期には70 ℃から80 ℃に達する。蓄熱量を増やすために、この層は厚い方が好ましい。網走の実証実験では1.5 mとした。 非対流層(Non-Convective Layer)は、食塩濃度が下部は下部対流層と等しく、上部は濃度が零の層でこの内部では対流は起らない。しかし、この層を通して熱伝導により熱が失われるため、この層も厚いことが望まれる。網走の実証実験では1.3 mとしたが、この層は経時的に変化して、最終的に約0.6 mから0.7 m程度となった。また、この層は太陽光が池底部まで到達できるようにするため、塵や有色の不純物を入れないようにすることが重要である。 上部対流層(上部混合槽, Upper Convective Layer) は、池の表面に当たる塩分を含まない真水の層である。この層の最も重要な機能は非対流層を維持することであり、この層が無いと下部対流層と非対流層は徐々に混ざり合い、最終的には1つの層となってしまう。それ以外に池の外部から入り込む塵埃などを取り除くため、また内部に発生する藻等を除くため、定期的に水を流して交換するための層としても利用する。また、雨水によって増水した分を除くための排水口も設けられる場合がある。この層は太陽光を吸収しないように薄いことが望ましい。網走の実証実験では0.23 mとした。
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