ボーイング機としての開発継続
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 13:36 UTC 版)
「ボーイング717」の記事における「ボーイング機としての開発継続」の解説
MD-95の開発が進行中に、計画を左右する2つの大きな出来事があった。 1つ目は、MD-95の最初の発注者であったバリュージェットが深刻な経営不振に陥ったことである。1996年5月11日、バリュージェットが運航するDC-9が墜落し、乗客・乗員合わせて110人全員が死亡する事故が発生した(バリュージェット航空592便墜落事故)。その後、同社は安全上の問題点が指摘されて社会的信用を失い、1996年6月に運航を停止した。当時、MD-95を発注していたのはバリュージェットのみであり、受注がゼロになる可能性もあった。しかし、最終的にバリュージェットはエアウェイズ社と合併してエアウェイズ社の子会社であったエアトラン航空の名前で運航を再開した。MD-95の発注もエアトラン航空に引き継がれ、注文のキャンセルは回避された。 2つ目は、1997年8月、マクドネル・ダグラスがボーイングに吸収合併されたことである。合併後のボーイングは、従来のボーイング製品と競合するマクドネル・ダグラス機の生産を終了させる方針を決めた。MD-95の開発も中止すべく、ボーイングはエアトラン航空に対し、ボーイングの100席級の旅客機である737-600へ発注切り替えを要請した。しかし、エアトラン航空は運航していた機材との共通性からこれを拒否し、MD-95は旧マクドネル・ダグラスの旅客機の中で唯一、合併後も開発・生産が継続されることとなった。1998年1月、ボーイングは製品の名称を揃えるため、MD-95をボーイング717-200へと変更した。 「717」という名称は、アメリカ空軍の空中給油機であるKC-135Aおよび707の派生型旅客機(後に720と命名された)の型式名として割り当てられていた。しかし、この名称は一般には知られていなかったことと、717の「1」で100席級の旅客機ということを表現できることなどから、当機の名称として選ばれた。717は新生ボーイングの象徴となり、短距離路線を運航する格安航空会社向けの旅客機として開発が進められた。
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