ペルツル家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:25 UTC 版)
父方のシックルグルーバー家と並んでヒトラーの悩みの種であったのが、母方のペルツル家であった。祖母と同名であるために、ヒトラー家からは「ハンニおばさん」の渾名で呼ばれていた母の妹ヨハンナ・ペルツルは重度の猫背(くる病)で精神疾患も患っていた。ハンニは妹一家から家事手伝いや甥や姪の面倒を任され、特に姉からは頼りにされていたが、ヒトラー家の家政婦ヘルルからは「頭のいかれたせむし女(ハンニ)」と陰口を叩かれている。ハンニを診察したブラウナウの医師は現代的な呼称で言えば統合失調症に相当する症状が出ているとの診断を下し、ヒトラー家かかりつけの医師エドゥアルド・ブロッホもヒトラー家はヨハンナを周囲から隠していたと証言し、「恐らく軽度の精神薄弱である」と診断している。 後年にT4作戦で劣等人種や障碍者と並んで精神患者を抹殺しようとしたナチスやヒトラーにとって、その親族に精神患者が存在したという過去は隠さねばならなかった。ナチ政権下の歴史家たちはヒトラー家の顕彰に努めたが、ペルツル家の存在だけはほとんど触れられていない。なお、ペルツル家以外にも低地オーストリアのヴァルトフィアテル(ドイツ語版)地方にはペルツル家の親族が幾らか点在しているが、一族という概念を嫌うヒトラーからはその存在をほとんど無視されていた。それにもかかわらず彼ら一族郎党は後年「アドルフ・ヒトラーの血族」として迫害を受ける事になった。
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