ブローダーバンドとは? わかりやすく解説

ブローダーバンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/03 21:56 UTC 版)

ブローダーバンド (Brøderbund) は、1980年2月にアメリカ合衆国で設立されたコンピューターゲームおよび教育ソフト、実用ソフトのメーカーである。「Broderbund」との表記もある。

概要

設立者であるダグ・カールストン英語版はもともとは弁護士であり、ブローダーバンド設立前は趣味としてTRS-80でプログラムを組み、大手のソフトハウスに投稿していた。

1980年、ソフト開発に専念すべく弁護士を廃業し、弟のゲーリー、妹のキャシーと共同でブローダーバンドを設立。社名の「Broderbund」というのは、英語でいう「Brotherhood」(兄弟の縁・愛情)を意味するスウェーデン語[要出典]、3人兄妹で創業したことから命名したものである。同社製ゲームソフトのタイトル画面でもよく表示され1998年まで使用された「トリプル・クラウン(3つの王冠)」のコーポレートマークもここに由来する。会社設立後、Apple II用ソフトウェアの開発・販売を開始。当初は社長であるダグ自らプログラムを組み、セールスして回っていた。

基本的に同社のゲームソフトは、優秀な投稿作品を送ってきたユーザーと個人契約を交わし、共同で作品をブラッシュアップして製品化する形態が多く、そういった作品はタイトル画面に制作者の名前が明記されていた。

日本国内においても、1980年代前半にロードランナーチョップリフターバンゲリングベイスペランカーカラテカをはじめとする同社の作品が次々に日本国産のパーソナルコンピュータ家庭用ゲーム機へ移植され、知名度を上げていく。1986年(昭和61年)には、日本法人の株式会社ブロダーバンドジャパン[1][2][3]を設立するに至った。

1998年に、同じく教育ソフトメーカーのThe Learning Company英語版に売却されたが、2024年現在も実用ソフトのブランドとしてブローダーバンドの名前は存続し公式ウェブサイトもある。

発売された主なゲーム

日本国産機への移植・販売についてはブローダーバンドは直接関わらず、日本国内の各ソフトハウス、もしくはブロダーバンドジャパンが行っていた。なお、日本国産のゲーム機へ移植された作品については太字で表記する。

  • ギャラクティックサーガシリーズ - ダグ自身がプログラミングした。このシリーズを販売するために会社が設立された。
    • ギャラクティック・エンパイア(1980年)
    • ギャラクティック・トレーダー(1980年)
    • ギャラクティック・レボリューション(1980年)
    • タワラズ・ラスト・リダウト(1981年)
  • エイリアンレイン(1981年) - スタークラフトのトニー鈴木が制作した、ギャラクシアンタイプの固定画面シューティング。
  • ジェネティック・ドリフト(1982年)
  • アップルパニック(1982年) - ロードランナーの原型ともいえる固定画面アクション。
  • トラック・アタック(1982年)
  • A.E.(1982年) - ギャラクシアンタイプの固定画面シューティング。制作者が日本人で、敵機がエイのためA.E.と命名された。
  • チョップリフター(1982年)
  • デイヴィッズ ミッドナイトマジック(1982年) - PC-6001mkIISRPC-6601SRの標準添付ソフトにも選定された、ピンボールゲームの人気作。盤面デザインはピンボール機「Black Knight」(1980年、Williams)を参考にしている。
  • スカイブレイザー(1983年)
  • ディアブロ(1983年) - PC-8801版は1988年発売[4]PCエンジン版は「ブロディア」と改題。
  • スペランカー(1983年)
  • ドロール(1983年)
  • ガムボール(1983年)
  • ロードランナー(1983年)
  • バンゲリングベイ(1984年)
  • カラテカ(1984年)
  • ステルス(1984年)
  • アート・オブ・ウォー(1984年) - PC-8801版は1986年発売[1][5]
  • キャプテン・グッドナイト(1985年)
  • カルメン・サンディエゴを追え! 世界編(1985年) - ゲーム仕立ての教育ソフトシリーズ。
  • エアーハート(1986年)
  • アート・オブ・ウォー 海戦版(1987年)
  • ウイングス オブ フューリー(1987年)
  • シャッフルパック・カフェ(1988年) - ゲームセンターなどで見かける「エアーホッケー」をパソコン上でゲーム化した作品。試合では、特徴あるさまざまな対戦相手が登場する。台上に障害物が登場したり、ラケットの大きさが変えられたりとパソコンならではの特別ルールも搭載している。[6]
  • イース(1989年) - 日本ファルコム1987年に制作した作品を「Ancient Land of Ys」のタイトルで移植。
  • プレイメーカー フットボール(1989年)
  • プリンス・オブ・ペルシャ(1989年)
  • MYST(1993年)
  • 殺意の証明(1995年)

発売された主なホームアプリケーション

代表的なホームアプリケーションには以下のものがある。

  • プリントショップ
  • プリントショップコンパニオン
  • バンクストリートライター
  • バンクストリートスペラー
  • サイエンスツールキット(1985年)- Apple IIを理科の実験に使用するためのキット。専用の周辺機器とセットで販売された。

脚注

  1. ^ a b ART of WAR”. メディア芸術データベース. 独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンター (2023年1月5日). 2024年2月9日閲覧。 “発行者名:株式会社ブロダーバンドジャパン 出版日:1986-12 ブランド:ブロダーバンドジャパン (Broderbund Japan)”
  2. ^ 企画展 アニメ進化論—日本の実験アニメの現在”. O美術館. 品川文化振興事業団 (1988年). 2024年2月9日閲覧。 “アニメーション・パフォーマンス“+&-” [..]協力 NEC日本電気グループ、株式会社ブロダーバンドジャパン、株式会社ハモンドスズキ”
  3. ^ 開発実績 - PCゲーム”. 株式会社 ウィル. 株式会社ウィル (2005年). 2024年2月9日閲覧。 “1992 / PC-9801 / ウルフパック / ブロダーバンドジャパン/BNN”
  4. ^ ディアブロ”. メディア芸術データベース. 独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンター (2023年1月5日). 2024年2月9日閲覧。 “発行者名:株式会社ブロダーバンドジャパン 出版日:1988-08 ブランド:ブロダーバンドジャパン (Broderbund Japan)”
  5. ^ ART of WAR VA専用版”. メディア芸術データベース. 独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンター (2023年1月5日). 2024年2月9日閲覧。 ※「VA専用版」は“PC-8801VA専用”の意味。
  6. ^ 佐久間亮介「チャレンジ! X68000」『マイコンBASICマガジン』1990年3月号(第9巻第3号)、電波新聞社、1990年3月1日、275頁。

外部リンク

  • Broderbund - 公式ウェブサイト(英語)




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