フラスコ振盪法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/22 20:19 UTC 版)
最も古典的で信頼できる分配係数の算出方法は、対象物質と2種類の溶媒を実際にフラスコに入れ、よく振りまぜる方法である。フラスコ振盪法によるオクタノール/水分配係数の測定法は、「OECD Test Guideline 107」や「JIS Z7260-107」によって標準的な方法が詳しく定められており、log Pow が -2 から 4 (場合によっては5)までの試料に適用できる。 大まかな手順としては、よく精製した水とオクタノールを24時間以上混合してそれぞれ飽和させ、十分に精製した測定対象物質と共にフラスコに取り温度を保ってよく振盪する。遠心分離器にかけ完全に相分離させたら、それぞれの相に含まれる試料量を物質に適した機器分析によって定量する。紫外・可視・近赤外分光法などの分光法、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー、特に金属元素を含む試料では放射性同位体を用いて線量測定するなどの方法が用いられる。オクタノール中の濃度 Co と水中の濃度 Cw をそれぞれ求め、濃度比 Pow = Co / Cw またはその常用対数 log Pow を分配係数とする。 フラスコ振盪法は、物質の化学構造が未知の場合でも使用できるため適用範囲が広い。反面、平衡に達するまでに長い時間を要し、両方の溶媒に完全に溶解する物質にしか適用できないという欠点がある。
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