フクヤマの歴史哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:36 UTC 版)
フクヤマの『歴史の終わり』は、主にヘーゲル、マルクス、ニーチェの歴史哲学と実存主義哲学について論じたものである。フクヤマはコジェーブのヘーゲル解釈を利用し、マルクスの歴史哲学とニーチェの実存主義哲学を批判する。しかし、フクヤマはニーチェの近代批判を高く評価しており、そのリベラル民主主義批判は、マルクスよりも本質的で根源的だと述べている。フクヤマはニーチェ哲学を論破したというよりも、政治体制領域に入ってこないように、個人レベルの領域に限定化したと読んだほうが正確である。 フクヤマのヘーゲル解釈が妥当かどうかについて、それを批判するヘーゲル研究家もいる。19世紀の人物であるヘーゲルが、はたして現在のアメリカ型の個人主義的な民主国家を歴史の終わりと考えていたかは疑問である。フクヤマはヘーゲルを俗化、単純化しすぎているなどという批判である。しかし、フクヤマは、自分がヘーゲル哲学と呼んでいるのはあくまでコジェーブ解釈によるヘーゲル=コジェーブ主義であるとして、ヘーゲルの解釈論争には一切踏み込んでいない。フクヤマが研究しているのはあくまで歴史そのものの発展法則であり、哲学者ヘーゲルという個人ではないのである。
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