ビメンチンの生理的な役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/08 02:33 UTC 版)
「ビメンチン」の記事における「ビメンチンの生理的な役割」の解説
中間径フィラメントは高等真核生物の細胞骨格として細胞の形態の維持を担う主要な構造蛋白として認知されてきた。特にビメンチンは生物の発生の初期段階から細胞や組織の分化成熟の段階まで多彩な細胞に発現しており、細胞機能に必須の構造蛋白であると考えられてきた。しかし、意外なことに遺伝子改変により作製したビメンチン欠損マウス(vimentin null mouse)は、胎生期に致死的影響を生ずることなく、ほぼ正常な個体として生まれ、細胞や組織の分化成熟を示すことが判明した(Galou et al, 1996; Colucci-Guyon et al, 1994)。GFAP欠損マウス、デスミン欠損マウスでも生存に影響するような重篤な病理変化を生じないことが報告されている。これらの事実は中間径フィラメントが単独で細胞の形態維持や機能を担っているという従来の発想の転換を促している。生体内で最も豊富に存在する細胞内構造蛋白でありながらビメンチンの詳細な細胞生理機能や病的過程での役割はいまだ謎に満ちている。
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