ハーベイロードの前提との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:09 UTC 版)
「ケインズ経済学」の記事における「ハーベイロードの前提との関係」の解説
もともと総需要管理政策は、不況時には財政支出の増大・減税・金融緩和などにより有効需要を増やすことにより生産と雇用は拡大するというもので、反面、インフレーションの加速した際には政府支出の削減・増税・金融引き締めによる有効需要の削減を推奨するものであった。 しかし現実には民主主義的な政治過程の中で、公共事業自体は限定的な支出である為長期雇用に結びつきにくく、好況になった場合にも、景気の過熱化を抑えるために引締めを行うことは、政治的に不人気な政策となるため、先進資本主義国において、税収が増えずに長期的に政府の財政赤字が累積的に増大するという問題が発生した。 また公共投資がそれを発注する権限を持つ官僚とそれを受注する私企業との間の癒着をもたらし、利権が固定化され、支出の効果が限定されるなど問題視されるようになった。 これらの想定の背景として、知識階級としての少数の賢人が合理性に基づいて政策判断を下せるというハーヴェイロードの前提がケインズの思想に生きていたと指摘される。 「現代の民主制の下では政府は権力の保持・奪回のために集団的圧力に屈服しやすいものなのだが、ケインズはむしろ、経済政策を立案する一部の聡明な人々は、選挙民や一部集団からの組織的圧力と衝突してでも必ずや公共の利益のために行動しようとするはずだという歴史的事実に反する前提を無意識のうちに置いていた」とジェームズ・M・ブキャナンは語っている。
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