ハイ・ブリッジ (ニューヨーク市)とは? わかりやすく解説

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ハイ・ブリッジ (ニューヨーク市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/27 03:14 UTC 版)

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ハイブリッジ
ハイブリッジ・パーク (en) からの眺め(2008年)
基本情報
アメリカ合衆国
所在地 ニューヨーク市マンハッタンブロンクス
交差物件 ハーレム川
管理者 ニューヨーク市公園および保養局 (en)
開通 1848年(当初の水道橋)
1927年(部分的に建て直し)
2015年(遊歩道として再開業)
閉鎖 1970年代
座標 北緯40度50分32秒 西経73度55分49秒 / 北緯40.842308度 西経73.930277度 / 40.842308; -73.930277座標: 北緯40度50分32秒 西経73度55分49秒 / 北緯40.842308度 西経73.930277度 / 40.842308; -73.930277
構造諸元
形式 アーチ橋
高さ 43 m
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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ハイ・ブリッジ (High Bridge)、もともとの名前はアクイダクト・ブリッジ (Aqueduct Bridge) は、ニューヨーク市に架かる最古の橋である。もともとはクロトン水道の一部をなす水道橋 (aqueduct) として1848年に開業し、2015年に遊歩道として再開業した。再開業以前は40年以上使われずに閉鎖されたままだった。全長約440 mのアーチ橋で、ハーレム川をまたいで二つの行政区マンハッタンブロンクスを結んでいる。橋の東側はブロンクスのハイブリッジ (en) 地区の西170丁目の西端附近であり、西側はマンハッタンのワシントンハイツ地区のハイブリッジ・パーク (en) であり西174丁目の東端のほぼ延長上である[1]

この橋はもともと1848年に16のアーチから構成される石造のアーチ橋として完成したが、ハーレム川にかかる5スパン分は1928年に高さ43メートルの鋼鉄製単一アーチ橋に置き換えられた。この橋は1970年代に全面的に閉鎖され、2009年からの改修を経て[2]、2015年6月9日に歩行者および自転車専用橋として再開業した[3][4]

この橋の運用および維持・管理はニューヨーク市公園および保養局 (en) によって行われている。

歴史

en:Harper's Magazineに記載されたイラスト, 1860年
1871年のハイ・ブリッジ、ウォーター・タワーおよび貯水池
2015年6月の再開業日

石造りのアーチ橋として、ハイ・ブリッジの建設は1837年に始まり1848年に完成した。クロトン川 (en) から急発展するニューヨーク市へ水を供給するクロトン水道 (en) の一部として建設された。この水道の全長は600 mにも及ぶ。この橋はジョン・ジャービスが率いるクロトン水道の技術者チームによって設計された。ローマ水道と似た形状をしている。後にセント・パトリック大聖堂の設計も手がけたジェームズ・レンウィック・ジュニアも設計に携わっている。

当時はトンネルの建設技術が発展途上だったため、リスクを避けて、橋によってハーレム川に水道を通すという選択がなされた。水道局 (Water Commission) と技術者はロウ・ブリッジ (low bridge) とハイ・ブリッジ (high bridge) の案を検討した。ロウ・ブリッジ案は構造が単純で建設期間、費用は少なく済んだが、ニューヨーク州議会 (en) はロウ・ブリッジは高さが低いため橋の下の通行を妨げると判断し、ハイ・ブリッジ案が最終的に選ばれた。

1928年、ハーレム川の水運を円滑にするため、川に架かっていた五つの石積みアーチは解体され、140 mの単一の製アーチに造り直された。1848年に建設された当初のアーチはマンハッタン側の陸上に一つとブロンクス側の陸上に10が残されている。

水道路としての用途は1949年12月15日に終了した。1950年代は人の通行が可能だったが、橋の老朽化が指摘されたことと市の財政や治安に問題があったため、1970年代にこの橋は閉鎖されることとなった[5]

2006年11月に公園および保養局はこの橋を改修し、2009年に再開通させることを発表した[2]。予算の都合などで何度も延期された末に、2009年に基本案が策定され、2010年に橋の設計はLichtenstein Consulting Engineers and Chu & Gassman Consulting Engineers (MEP sub-consultant) と契約が結ばれた[6]。橋の補強、階段の改修、防犯カメラやボート標識灯の設置などが改修案に盛り込まれた[7]。歩道と自転車道を整備し、合計0.5 km2以上の広さになるマンハッタン側とブロンクス側の公園を結び、公園周辺の緑道へのアクセスも確保された[8]。何度か完成の延期が発表された[3][9]後、2015年6月に正式に再開業した[10][11]。リボンカットが2015年6月9日午前11:30頃に行われ、正午に一般のアクセスが可能となった[4]

ハイ・ブリッジ給水塔

北から見た給水塔
南から見た給水塔の頂上部

ハイ・ブリッジ給水塔 (High Bridge Water Tower) は、マンハッタンのハイブリッジ・パーク (en) 内のおよそ西173丁目と174丁目の間あたりに建つ給水塔である。1866-72年頃に、需要が拡大するニューヨーク市への水供給システムのために建設された。全高61 mの八角形の塔で、1863年に州議会によって建設が承認された。設計は、ハイ・ブリッジの建設を監督したジョン・ジャービスである。給水塔の横には2.8haのハイブリッジ貯水池 (en) があり、この貯水池まで30m汲み上げられた水は、給水塔の180 m3のタンクに送られた。現在は、この貯水池は1934-36年に建設されたハイブリッジ・プレイ・センター (en) として遊戯施設や公共プールとして利用されている。この給水塔の高さの重力を利用して、当時普及し始めた水洗トイレを流す水圧が提供された[12][13][14]

これらのシステムはクロトン水道の開業により以前ほど使われなくなり、第一次世界大戦中に破壊活動が懸念され完全に閉鎖された[14]。1949年にこのタワーはサービスを中止し[12][14]、1958年にはAltman Foundationの寄付によるカリヨンが設置された[14]

タワーの円屋根は1984年の放火により損傷したが、再建され、石造りの耐力外壁も1989-90年にWilliam A. Hall Partnershipによって改修された[13][14]。この外装はもともとロマネスク・リヴァイヴァルおよびネオ・グレックの混合様式でジョン・ジャービスが設計したものである。

タワーの内部は公共に開放されたことはないが、鉄製の螺旋階段と6つの踊り場と対の窓がある[14]

このウォーター・タワーは1967年にニューヨーク市歴史建造物保存委員会によってニューヨーク市歴史建造物に指定された[12]

ギャラリー

関連項目

出典

脚注

  1. ^ Ramey, Corinne (2015年6月8日). “The Grass Is Greener on the Other Side”. Wall Street Journal. ISSN 0099-9660. http://www.wsj.com/articles/the-grass-is-greener-on-the-other-side-1433811592 2015年6月9日閲覧。 
  2. ^ a b High Bridge PlaNYC Project Overview”. New York City Department of Parks & Recreation. 2010年11月11日閲覧。
  3. ^ a b "NYC to Restore the High Bridge Over Harlem River"
  4. ^ a b "High Bridge reopens to bikes, pedestrians" MyFox TV
  5. ^ O'Kane, Lawrence. "Span is 'Swapped' on City Boat Ride" The New York Times (July 8, 1954)
  6. ^ Aaron, Brad (2010年2月11日). “High Bridge Restoration Off and Running”. Streetsblog New York City. 2010年7月1日閲覧。
  7. ^ Hughes, C. J. (2007年5月20日). “Living In: High Bridge, the Bronx - Home of the Bronx Roar”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2007/05/20/realestate/20livi.html 2007年5月20日閲覧。 
  8. ^ The High Bridge & Highbridge Parks (PDF)”. High Bridge Coalition (2005年). 2012年10月5日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年7月1日閲覧。
  9. ^ Clarke, Erin (2014年8月28日). “High Bridge's Reopening Slated for Spring”. NY1. http://www.ny1.com/content/news/214652/ny1-exclusive--high-bridge-s-reopening-slated-for-spring/ 2014年12月5日閲覧。 [リンク切れ]
  10. ^ The High Bridge Reconstruction Project”. New York City Department of Parks and Recreation. 2015年5月30日閲覧。
  11. ^ High Bridge Events”. NYC Parks. 2016年3月4日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年6月1日閲覧。
  12. ^ a b c New York City Landmarks Preservation Commission; Dolkart, Andrew S.; Postal, Matthew A. (2009), Postal, Matthew A. (ed.), Guide to New York City Landmarks (4th ed.), New York: John Wiley & Sons, ISBN 978-0-470-28963-1, p.210
  13. ^ a b White, Norval; Willensky, Elliot & Leadon, Fran (2010). AIA Guide to New York City (英語) (5th ed.). New York: Oxford University Press. ISBN 978-0-19538-386-7, p.566
  14. ^ a b c d e f Gray, Christopher (1988年10月9日). “Streetscapes: The High Bridge Water Tower; Fire-Damaged Landmark To Get $900,000 Repairs”. The New York Times. http://www.nytimes.com/1988/10/09/realestate/streetscapes-high-bridge-water-tower-fire-damaged-landmark-get-900000-repairs.html 

外部リンク





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