ニュートロン (ロケット)とは? わかりやすく解説

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ニュートロン (ロケット)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/15 01:56 UTC 版)

ニュートロン
(Neutron)
基本データ
運用国 アメリカ合衆国
ニュージーランド
開発者 ロケット・ラボ
運用機関 ロケット・ラボ
使用期間 開発中
射場 MARS LP-0
打ち上げ数 0回(成功0回)
公式ページ Neutron
物理的特徴
段数 2段
ブースター なし
総質量 480,000 kg (1,060,000 lb)
全長 42.8 m (140 ft)[1]
直径 7 m (23 ft)[1]
軌道投入能力
中軌道 8,500 kg / 13,000 kg / 15,000 kg[1]
発射台に着陸 / 回収船に着艦 / 使い捨て
500km / 40度
極軌道 6,200 kg / 10,100 kg 11,800 kg[1]
発射台に着陸 / 回収船に着艦 / 使い捨て
500km / 90度
静止移行軌道 1,800 kg / 2,800 kg[1]
回収船に着艦 / 使い捨て
40度
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ニュートロン (Neutron) は、アメリカニュージーランドの企業であるロケット・ラボが開発中の人工衛星打ち上げ用の中型液体燃料ロケットである。ニュートロンは再使用可能なロケットで、地球低軌道に8,000 kgの打ち上げ能力を持つ[2][3]。開発が明らかにされたのは2021年3月で、成長するメガコンステレーションの衛星打ち上げ市場がターゲットとされている[4]。運用開始は2025年以降を予定している[5]燃料としては1段目/2段目ともに液体酸素 (LOX) と液体メタンを使用する[3]

設計

ニュートロンは全長42.8m・直径7mの中型ロケットであるが、一般的なロケットとは異なり、極めて特徴的な円錐台形状のデザインとなっている[2]。このデザインは垂直着陸による1段目の再使用を想定したもので、底部が大きくなる形状とすることで、機体を安定して着陸させ、また発射台などのインフラを不要とすることを意図している[3]。またフェアリングが、回収して再使用できるようロケットの1段目に統合されており、2段目が1段目の中にぶら下がるという独特の構造を取る[3]。機体構造にはエレクトロンと同様に炭素繊維複合材が用いられる[3]

エンジンには新開発のアルキメデスエンジン英語版が用いられる[3]。アルキメデスは液体メタン/LOXを燃料とする推力約165,000 lbf (730 kN) のロケットエンジンで、1段目に9基、2段目に1基が搭載される[2]

2021年3月に公開された初期デザイン。最初の構想では一般的なロケットと同じ形状をしていた

ニュートロンの設計は、2021年3月に初めて公開されてから、大きく変遷している。当初公開されたのは全長40mの一般的な形状をしたロケットで、直径4.5mのフェアリングを備え、大西洋に浮かぶ洋上プラットフォームに1段目を着陸させるという、既に実用化されているスペースX社のファルコン9を小型にしたような設計であった[4][6][3]。同年12月の発表で現行の形状へと刷新され[3]、その後は2022年9月にエンジンやフェアリングの設計変更が公表されている。

運用

ニュートロンの打ち上げは、アメリカ東海岸バージニア州中部大西洋地域宇宙基地 (MARS) から予定されている[7][8]。ロケット・ラボはまた、基地の近くでロケットを製造するための土地も探している。初打ち上げは当初は2024年が予定されていたが[7]、開発の遅延から、2024年現在では2025年半ば以降になるとしている[5]

用途

ニュートロンは使い捨てで15,000kg、1段目を発射地点に戻して再使用する運用で8,000kgの打ち上げ能力を持つ。ロケット・ラボは将来的に、ニュートロンで有人宇宙飛行も可能となるようデザインを行っている[6]

参考文献

  1. ^ a b c d e PAYLOAD User's GUIDE”. ロケット・ラボ (2025年1月). 2025年2月13日閲覧。
  2. ^ a b c 2022 Investor Day and Newtron Update” (英語). Rocket Lab (2022年9月21日). 2022年10月12日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h 鳥嶋真也 (2021年12月20日). “米企業ロケット・ラボ、独創的な新型再使用ロケット「ニュートロン」を発表”. マイナビニュース. 2022年10月13日閲覧。
  4. ^ a b Foust, Jeff (1 March 2021). “Rocket Lab to go public through SPAC merger and develop medium-lift rocket”. SpaceNews英語版. https://spacenews.com/rocket-lab-to-go-public-through-spac-merger-and-develop-medium-lift-rocket/ 1 March 2021閲覧。 
  5. ^ a b Rocket Lab pushes back Neutron debut to 2025”. SpaceNews (2024年5月7日). 2024年5月8日閲覧。
  6. ^ a b "Rocket Lab Unveils Plans for New 8-Ton Class Reusable Rocket for Mega-Constellation Deployment" (Press release). Business Wire. 1 March 2021. 2021年3月1日閲覧
  7. ^ a b Sheetz, Michael (2 December 2021). “Rocket Lab gives first look at plans for bigger, reusable Neutron rocket as it takes on SpaceX”. CNBC. 2 December 2021閲覧。
  8. ^ Foust, Jeff (2 March 2021). “Rocket Lab says SPAC deal will accelerate development of Neutron rocket”. SpaceNews英語版. 4 March 2021閲覧。

関連項目

外部リンク




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