ニギス科とは? わかりやすく解説

ニギス科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 02:11 UTC 版)

ニギス科
Argentina silus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 原棘鰭上目 Protacanthopterygii
: ニギス目 Argentiniformes
亜目 : ニギス亜目 Argentinoidei
: ニギス科 Argentinidae
英名
Argentines
Herring smelts
下位分類
本文参照

ニギス科学名Argentinidae)は、ニギス目に所属する魚類の分類群の一つ。2属で構成され、ニギス・カゴシマニギスなど深海魚を中心に2属27種が記載される[1]。学名はラテン語の「argentum()」に由来する[2]

分布・生態

ニギス科の魚類はすべて海水魚で、太平洋インド洋大西洋など全世界の海に幅広く分布する[1]深海でまばらな群れを形成し、ゴカイ甲殻類などを捕食する[3]生物量は多く、ニギスなど一部の種類は食用魚として漁獲対象となるが[4]、多くは利用されることがない[3]

本科魚類の生態についてはほとんどわかっていないが、は浮性卵で仔魚は表層で生活することが知られ、成魚の寿命は20年以上に達すると考えられている[3]

形態

カゴシマニギス属の化石種。左から個体発生の順に並んでいる

ニギス科の魚類はやや細長く円筒形で、イワシニシンに似た体型をもつ。最大種(Argentina silus)は体長70cmにまで成長するが、多くは30cm以下の小型魚類である[2][3]。体色は一般に銀白色を基調とし、斑紋や縞などの特徴的な模様はもたない[3]。眼は大きく、口はの先端に位置する[3]。同じニギス亜目に所属するデメニギス科・ソコイワシ科とは、管状眼をもたないこと、中烏口骨をもつなどの特徴から鑑別される[1]

背鰭の起始部は腹鰭よりも前方にあり、鰭条は10-14本。に棘条はなく、臀鰭・胸鰭・腹鰭はそれぞれ10-17本・11-25本・10-15本の軟条で構成される[1]。胸鰭の基底は体の腹側寄りにある[2]。脂鰭をもち、臀鰭の真上に位置する。後擬鎖骨・中烏口骨をもつ。鰓条骨は4-6本で、椎骨は43-70個[1]

分類

ニギス科にはNelson(2016)の体系において2属27種が認められている[1]。かつて本科に含まれていたギンサケイワシ属 Nansenia は、現在ではソコイワシ科に移されている[1]。本稿では、FishBaseに記載される2属28種についてリストする[2]

カゴシマニギス属の1種(Argentina elongata)。水深69-600mに分布する[2]
カゴシマニギス属の1種(Argentina sphyraena)。ヨーロッパ周辺の深海に生息し、最も古くから知られていたニギス類の一種である[2]
カゴシマニギス属の1種(Argentina striata)。大西洋西部から報告がある種類
カゴシマニギス属の1種(Argentina silus)。体長70cmに達する本科魚類中の最大種で、食用魚として利用される[2]

カゴシマニギス属

ニギス属

  • ニギス属 Glossanodon
    • イチモンジイワシ Glossanodon lineatus
    • コタカニギス[5] Glossanodon kotakamaru
    • ニギス Glossanodon semifasciatus
    • Glossanodon australis
    • Glossanodon danieli
    • Glossanodon elongatus
    • Glossanodon leioglossus
    • Glossanodon macrocephalus
    • Glossanodon melanomanus
    • ツマリニギス Glossanodon microcephalus
    • Glossanodon mildredae
    • Glossanodon nazca
    • Glossanodon polli
    • Glossanodon pseudolineatus
    • Glossanodon pygmaeus
    • Glossanodon struhsakeri

出典・脚注

  1. ^ a b c d e f g 『Fishes of the World Fifth Edition』 p.253
  2. ^ a b c d e f g Argentinidae”. FishBase. 2025年5月9日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 『海の動物百科2 魚類I』 pp.48-50
  4. ^ 『日本の海水魚』 p.96
  5. ^ 日本産魚類の追加種リスト”. 日本魚類学会. 2011年3月13日閲覧。

参考文献

外部リンク


ニギス科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 16:56 UTC 版)

ニギス目」の記事における「ニギス科」の解説

ニギス科 Argentinidae は2属23種で構成される脂鰭臀鰭真上位置し背鰭起始部は腹鰭よりも前方にある。胸鰭基底部腹側近くにある。 カゴシマニギスArgentina ニギス属 Glossanodon

※この「ニギス科」の解説は、「ニギス目」の解説の一部です。
「ニギス科」を含む「ニギス目」の記事については、「ニギス目」の概要を参照ください。

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