トレハロースの分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 21:53 UTC 版)
非還元性の二糖類であるトレハロース(α-D-グルコピラノシル-1,1-α-D-グルコピラノシド)は、重要な炭水化物の貯蔵形態の1つであり、哺乳類を除く、地球上の多くの生物に存在する。1分子のトレハロースは、トレハラーゼによって2分子のグルコースに加水分解される。トレハロースの加水分解は、1893年にエミール・ブルクロによってクロコウジカビ(Aspergillus niger)で初めて観察された。フィッシャーは1895年に出芽酵母でのこの反応を報告している。それ以来、トレハロースの加水分解酵素であるトレハラーゼは、植物や動物を含む多くの生物で報告されてきた。腸におけるトレハラーゼの機能は、経口摂取されたトレハロースを分解することである。腸のトレハラーゼを欠くと、キノコなどのトレハロースを多く含むものを食べると、トレハロースが分解できないために吸収もできず、浸透圧性の下痢をする。なお、トレハラーゼは腸以外でも発現していることがあり、トレハラーゼによるトレハロースの加水分解は、菌類の胞子の発芽、昆虫の飛行、休眠細胞の成長の再開など、多くの生物の生理的プロセスにとって重要である。
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