デバイによる導出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 07:21 UTC 版)
実際には、デバイは上記の式を違ったやり方で、より単純に導いた。デバイは連続媒体の固体力学を用いて、ある値よりも小さい周波数の振動状態の数は n ∼ 1 3 ν 3 V F {\displaystyle n\sim {1 \over 3}\nu ^{3}VF} へと漸近することに気づいた。ここで V は体積であり、 F は弾性率と密度からデバイが計算した因子である。これらを温度 T の調和振動子で期待されるエネルギーと結びつけ(アインシュタインがアインシュタイン模型ついても用いた手法である)、以下エネルギーを得る。 U = ∫ 0 ∞ h ν 3 V F e h ν / k T − 1 d ν {\displaystyle U=\int _{0}^{\infty }\,{h\nu ^{3}VF \over e^{h\nu /kT}-1}\,d\nu } 振動周波数の上限が無限まで伸びているなら、この形式は低温で正しい T4 的な振る舞いを与える。しかしデバイは N 個の原子では 3N 個以上の振動状態はありえないと確信した。そして原子固体において、振動状態の周波数スペクトルの最大値は νm であり、全状態の数は 3N だと仮定した。 デバイはこの仮定が本当は正しくないことを知っていた(高周波数は仮定よりも間隔が狭い)。しかし一方で高温においてはデュロン=プティの法則に一致し、正しい振る舞いをする。この仮定によりエネルギーは以下で与えられる。 U = ∫ 0 ν m h ν 3 V F e h ν / k T − 1 d ν {\displaystyle U=\int _{0}^{\nu _{m}}\,{h\nu ^{3}VF \over e^{h\nu /kT}-1}\,d\nu } = V F k T ( k T / h ) 3 ∫ 0 T D / T x 3 e x − 1 d x {\displaystyle =VFkT(kT/h)^{3}\int _{0}^{T_{D}/T}\,{x^{3} \over e^{x}-1}\,dx} ここで TD は hνm/k である。 = 9 N k T ( T / T D ) 3 ∫ 0 T D / T x 3 e x − 1 d x {\displaystyle =9NkT(T/T_{D})^{3}\int _{0}^{T_{D}/T}\,{x^{3} \over e^{x}-1}\,dx} = 3 N k T D 3 ( T D / T ) {\displaystyle =3NkTD_{3}(T_{D}/T)} ここで D3 は後に3次のデバイ関数と名づけられた。
※この「デバイによる導出」の解説は、「デバイ模型」の解説の一部です。
「デバイによる導出」を含む「デバイ模型」の記事については、「デバイ模型」の概要を参照ください。
- デバイによる導出のページへのリンク