ダーガーの真の姿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/05 05:56 UTC 版)
「ヘンリー・ダーガー」の記事における「ダーガーの真の姿」の解説
わびしい現実を捨て、彼がそこに生きることを選んだもうひとつの世界では、心躍る冒険や大義のための戦争、清らかな少女たちの友情、そして神との格闘が繰り広げられていた。60年間、人知れず記した物語は『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』と題され、1万5000ページを超えるタイプ原稿に巨大な挿絵が添えられていた。それは作品として意図されたものではなく、彼がそこで生きるために創造した領域(Realm)だった。 ダーガーが路地裏でゴミを漁っていたのはイメージをコレクションするためだった。40年間溜め込んだジャンクの中でも際立ったのは印刷物である。児童用の塗り絵やいろいろな雑誌を束にして紐で結わえ、お気に入りの新聞漫画は几帳面にスクラップブックに貼り付けて保管していた。自分には絵がかけないと思っていたダーガーは、いまだ不可視の『王国』を絵画化するための素材やアイデアを貪欲に集めていたのだった。『王国』の登場人物のモデルになりそうな人物のポートレートや『王国』で起こる戦闘や自然災害の惨状を描く手本となりそうな写真や挿絵をつねに探していた。 初期の絵は、切り抜いた図版に彩色したり、解説を書き加えたりすることから始まり、やがて漫画のコマ割りやふきだしを用いて、話の展開を進めることも発見した。
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