タールヴェグの原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 16:20 UTC 版)
タールヴェグの原則(タールヴェグ・ドクトリン、タールヴェグの法則とも呼ばれる)とは、2つの政治的エンティティの境界がある水路(河川、海峡等)であるとだけ規定され、それ以上の記述(中央線、右岸、東岸、干潮線など)がない場合、その境界はその水路のタールヴェグに従うという法原則である。特に、境界線は、主要な航行可能な水路(多くは最も深い部分)の中心に沿っている。河川に複数の航行可能な水路がある場合は、主に下流への移動に使用される(一般的には最も強い流れを持つ)水路が使用される。この定義は、特定の記述にも使用されている。例えば、ヴェルサイユ条約では、「(航行可能な)水路によって定義される境界の場合」には、「主要な航行水路の中央線」に沿って境界を定めると規定されている。 河川の境界線を正確に引くことが重要になったことは多数の例がある。代表的な例としては、イラン=イラク国境(英語版)のシャットゥルアラブ川、中央ヨーロッパのドナウ川(クロアチア・セルビア国境紛争(英語版))、ナミビアとボツワナの間のカシキリ/セドゥドゥ島紛争(英語版)(1999年に国際司法裁判所で決着)などがある。ガイアナとスリナムの間の海上国境に関する2004年の国際海洋法に基づく紛争決着では、コーランタイン川(英語版)のタールヴェグが判決に一役買っている。 時折洪水が発生する川や、特に春先に雪や氷が溶けて増水する川では、タールヴェグが変化することがある。これは、国境がタールヴェグで規定されている場合に、国境が変化する可能性があることを意味する。フィンランド=スウェーデン国境(英語版)は、このために何度か変更されている。
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