スタマティ
1820年代から30年代にかけて、パリには輝かしい成功を求めてヨーロッパ中からショパン、リスト、タールベルクをはじめとしたピアノの名手たちが押し寄せた。大概の音楽史書を紐解けば、彼らの名前やその功績が記されているが、一方で19世紀前半に生まれたフランス人ピアニストたちの存在は殆ど歴史の暗がりに葬られている。しかし、実際にはサン=サーンスやドビュッシーへと連なる輝かしいフランスの流派(エコール・フランセーズ)が存在したことをこの機会に思い出してみよう。パリで指導的な役割を担い後続世代に多大な影響を及ぼしたフランスの主要なピアニスト兼作曲家として、P.-J.-G.ヅィメルマン(1785~1853)とF. カルクブレンナー(1785~1849) が挙げられる。彼らはいずれもパリ音楽院出身で、前者は同音楽院教授、後者は著名なピアノ教師として多くの傑出した生徒を育て上げた。カミーユ・スタマティはカルクブレンナーの高弟であり、弟子にサン=サーンスを持つ。
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