コースロープ用フロート事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:09 UTC 版)
「未完成発明」の記事における「コースロープ用フロート事件」の解説
1977年に東京高等裁判所は、泳いでいる人によって発生した波が、競泳用のコースロープ用フロートによって反射され、身体に対する抵抗として作用しないようにするために、従来はたんなる円柱状であったフロートの外周面に凹陥部を設けたものについて、まず次のことを認定した: 波長が10センチメートル未満の波の影響は無視してもよい程度のものである 波長が10センチメートル以上の波を減殺するためにはフロートの外周面に設ける凹陥部の深さと幅は10センチメートル以上でなければならない 通常使用されるコースロープ用フロートの大きさが直径3~8.5センチメートル、長さ20~30センチメートルの範囲内にある その上で、次のように結論付けた: 本件発明において開示される技術手段に従つて、通常使用されるコースロープ用フロートの筒体の外周面に凹陥部を設けたとしても、それによつて乱反射され消波されるものは、もともと泳者に対し影響を及ぼさない波長一〇センチメートル未満の水波に限られ、それ以上のものには及ばないのであるから、本件発明にいう、その泳者の泳進速力の向上という効果のごときは、到底これを期待しえないものである。したがつて、本件発明の技術手段は、当該技術分野における通常の知識を有するものがこれを実施しても、その目的とする技術効果を挙げることができないものであるから、発明としては未完成であつて、特許法第二条第一項にいう「発明」には当らないというべきである。 — コースロープ用フロート事件東京高等裁判所判決
※この「コースロープ用フロート事件」の解説は、「未完成発明」の解説の一部です。
「コースロープ用フロート事件」を含む「未完成発明」の記事については、「未完成発明」の概要を参照ください。
- コースロープ用フロート事件のページへのリンク