コメディフランセーズの俳優たちとは? わかりやすく解説

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コメディ・フランセーズの俳優たち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/07 03:05 UTC 版)

『コメディ・フランセーズの俳優たち』
ロシア語: Актеры французского театра
英語: Actors of the Comedie-Francaise
作者 アントワーヌ・ヴァトー
製作年 1711-1712年
種類 板上に油彩
寸法 20 cm × 25 cm (7.9 in × 9.8 in)
所蔵 エルミタージュ美術館サンクトペテルブルク

コメディ・フランセーズの俳優たち』(コメディ・フランセーズのはいゆうたち、: Актеры французского театра: Actors of the Comedie-Francaise)、または『マスカレード』(: Mascarade: Masquerade)は、18世紀フランスロココ期の巨匠アントワーヌ・ヴァトーが1711-1712年に板上に油彩で制作した絵画である。1772年にパリでティエール男爵ルイ・アントワーヌ・クロザフランス語版 (著名な美術収集家ピエール・クロザ英語版の甥) のコレクションから購入された作品で、レニングラード州 (ロシア) のガチーナ宮殿英語版に所蔵されていた[1]。作品は1920年にサンクトペテルブルクエルミタージュ美術館に移されて以来[1]、同美術館に所蔵されている[1][2]

歴史

ヴァトー『ポーランド人女性英語版』 (1710-1730年代)、ワルシャワ国立美術館

元来、パリのクロザ・コレクションフランス語版にあった本作は、1772年にロシア皇帝エカチェリーナ2世によって購入されたものである。ロシアの研究者インナ・ネミロワ (Inna Nemilova) は制作年を1712年としているが、その根拠はヴァトーが青年期の1710-1712年に制作した『素晴らしい年齢 (Le Bel âge)』(別名『合奏 (ou Le Concert)』) や『ポーランド人女性英語版』、『座っているポーランド人女性』などと共通の特徴が見られるからである。しかも、画面の黒人少年は、1712年制作の『会話 (La Conversation) 』にも登場する[3][4]

作品

演劇は18世紀の人々の大きな楽しみの1つで、コメディ・フランセーズのような大劇場を舞台にするものから、アクロバット的な笑劇を行う縁日芝居まで、パリ市民を楽しませた。ヴァトー自身、非常に演劇好きで、彼の作品には演劇と関連を持つものが少なくない[2]。本作もそうした作品のうちに数えられるが、ヴァトーとしては非常に珍しい集団肖像画でもある[1]

18世紀以来、8つの題名がつけられてきた作品で[1]、18世紀には順次、『舞踏会の再開 (La Rentrée du bal)』、『舞踏会の準備をする仮面を着けた人々 (Personnages en masques se préparant au bal)』、『マスカレード』、『なまめかしい女 (Les Coquettes)』と呼ばれている。そして、19世紀には、人物たちの衣装により『コメディ・イタリエンヌの俳優たち (Les Acteurs de la Comédie-Italienne)』と呼ばれた。次いで、ヴァトーの素描の研究にもとづき、作品中の人物たちは、『三人の従姉妹』 (フロラン・カルトン英語版(別名ダンクール)作のコメディ[5]) を演じているコメディ・フランセーズの俳優たちであると特定された。彼らは左から右に、後のオルレアン公フィリップ2世の愛妾で、ラ・デマールと呼ばれたシャルロット・デマール英語版嬢、フィリップ・ポワソン英語版、そして、ダンクールの義兄弟で、ラ・トリリエール (La Thorillière) と呼ばれたピエール・ル・ノワール (Pierre Le Noir, 1659-1731年) である[1]。画面右側の2人は、いまだに特定化されていない。

なお、ダンクールは自身が俳優であるとともに人気作家であり、その作品はロシア語にも翻訳された[2]

脚注

  1. ^ a b c d e f Actors of the Comedie-Francaise”. エルミタージュ美術館公式サイト (英語). 2025年11月6日閲覧。
  2. ^ a b c 『NHK エルミタージュ美術館 2 ルネサンス・バロック・ロココ』、1989年、156頁。
  3. ^ I. S. Némilova, Peinture d'Europe occidentale des XIIIe ‑ XVIIIe siècles, Musée de l'Ermitage, éditions d'art Aurore, Léningrad, 1977, p. 63.
  4. ^ Roland Michel 1984, p. 217.
  5. ^ Némilova op. cit.

参考文献

外部リンク




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