ケリュネイアの鹿とは? わかりやすく解説

ケリュネイアの鹿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 00:17 UTC 版)

紀元前540 - 530年頃のアンフォラに描かれた、ケリュネイアの鹿を捕らえるヘーラクレース。左はアテーナー、右はアルテミス。

ケリュネイアの鹿(ケリュネイアのしか、古代ギリシャ語: Κερυνῖτις ἔλαφος, ラテン文字転写: Elaphus Ceryniti)は、ギリシア神話に登場する巨大な雌鹿。女神アルテミスの聖獣でもある。

黄金の角と青銅を持っており、矢よりも素早く動くことができたという。この鹿は、アルテミスがリュカイオン山中で草を食っているのを見つけ、自ら捕まえた鹿である。全部で5頭おり、内4頭はアルテミスが自分の戦車に繋いだ。残りの1頭は脚が速すぎる為、狩猟の神でもあるアルテミスでも捕まえることができなかった。その後、ヘーラーの命令でその鹿はヘーラクレースを試すために、ケリュネイアの山中に放された。

ケリュネイアの鹿の捕獲は、ヘーラクレースの12の功業の一つであった。

ヘーラクレースの第3の功業

ヘーラクレースは前の2つの功業(ネメアーの獅子退治とヒュドラー退治)を成し遂げたので前回よりも難しい3番目の試練を考え出すのには多くの時間を費やさねばならなかった。その為、エウリュステウスは大いに腹を立てた。そこでエウリュステウスは第3の試練をケリュネイアの鹿を捕らえさせることに決めた。しかしこの鹿はアルテミスの捧げ物なので生け捕りにすること、とされた。

ケリュネイアの鹿はあまりにも足が速かった為、ヘーラクレースはまる1年間もギリシアトラーキアイストリアヒュペルボレイオスを通って徒歩で雌ジカを追い続けた。そして1年後ヘーラクレースはやっと雌ジカがラードーン川の水を飲むために止まったときに矢(この矢にはヒュドラーの血が塗ってある)で脚を射捕らえた。

エウリュステウスはアルテミスの聖獣を捕まえるという試練を課すことによって、アルテミスを激怒をさせることを望み、ヘーラクレースにこの試練を与えた。 雌ジカを捕らえ、家路を急いでいるとヘーラクーレスは偶然、アルテミスの双子の兄、アポローンに遭遇した。アルテミスとアポローンは鹿が殺されていると思い込み、激怒したが、ヘーラクレースが苦行の一環として鹿を捕らえねばならなかったこと、まだ鹿が生きていることを説明しアルテミスに鹿を絶対返すことを約束するとアルテミスの怒りは静まった。こうして、アルテミスにヘーラクレースを罰させるエウリュステウスの計画は挫かれたのだった。

その後ヘーラクレースは無事ミュケーナイにつき、第3の試練も無事終了した。その後、この鹿はアルテミスに返されたという。

起源

角の生えた雌ジカは当時のギリシアには居なかったが、この話にでてくる雌ジカには角が生えている。これは馴鹿を思わせる(他の鹿と異なりトナカイはメスでも角が生えている)。 そこでイギリスの文学作家ロバート・グレーヴスは、この神話の起源がトナカイのいる北方の古い話ではないかと考えた。


ケリュネイアの鹿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 08:32 UTC 版)

ヘーラクレース」の記事における「ケリュネイアの鹿」の解説

アカイア地方のケリュネイアの鹿(牝鹿)は女神アルテミス聖獣黄金の角青銅のひづめを持っていた。4頭の兄弟がおり、アルテミス生け捕られ、彼女の戦車引いていたが、この5頭目の鹿は狩猟女神をもってしても捕らえる事ができないほどの脚の速さ誇った女神から傷つけることを禁じられたため、ヘーラクレース1年間追い回した末に鹿を生け捕りにした。その後この鹿はアルテミス捧げられ、他の4頭とともに戦車牽くこととなった

※この「ケリュネイアの鹿」の解説は、「ヘーラクレース」の解説の一部です。
「ケリュネイアの鹿」を含む「ヘーラクレース」の記事については、「ヘーラクレース」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ケリュネイアの鹿」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ケリュネイアの鹿」の関連用語

ケリュネイアの鹿のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ケリュネイアの鹿のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのケリュネイアの鹿 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヘーラクレース (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS