ケスナヅルとは? わかりやすく解説

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ケスナヅル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/27 14:32 UTC 版)

ケスナヅル
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : モクレン類 magnoliids
: クスノキ目 Laurales
: クスノキ科 Lauraceae
: スナヅル属 Cassytha
: スナヅル C. filiformis
変種 : ケスナヅル C. filiformis var. duipraticola
学名
Cassytha filiformis var. duipraticola Hatus. (1976)[1]
シノニム
和名
ケスナヅル(毛砂蔓[要出典])、ホーダイグサ[注 1]、ニーナシカンジャ[注 2]

ケスナヅル学名: Cassytha filiformis var. duipraticola)は、クスノキ科スナヅル属スナヅルに分類される変種である。Cassytha pubescens の名が充てられたこともあるが、現在ではこれとは別種であることが明らかとなっている。つる性寄生植物であり、基準変種よりも茎が細く、毛が密生する。沖縄群島沖縄島伊平屋島伊是名島)、台湾中国南部に分布する。沖縄ではやや内陸の草地低木林の林縁に生育する。

特徴

つる性半寄生植物であり、は基準変種スナヅルより細く、直径1ミリメートル (mm) 以下、匍匐し、全体に褐色の毛が密生する[3][4]花序は長さ約1センチメートル (cm)、2–5個のがつく[3]果実は球形で小さく、直径約 5 mm[3]

分布・生態

沖縄諸島沖縄島伊平屋島伊是名島、および台湾中国南部に分布し、また宮古群島多良間島からの報告もある[3][5][6][7][8]。また分子系統解析からは、ボルネオ島にも分布することが示唆されている[6]

やや乾燥した日当りのよい草地低木林の林縁に生育し、オオマツバシバやシバニッケイなどに寄生している[3]

保全状況評価

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

日本の環境省では、絶滅危惧II類に指定されている[9]。また生育地である沖縄県でも、絶滅危惧II類に指定されている[3][9]

分類

古くはオーストラリア産の Cassytha pubescens と同種とされ、オーストラリアと沖縄に隔離分布している植物地理学上の興味深い種とされていた[3]。しかし、形態的特徴の精査により、オーストラリア産の C. pubescens(真の C. pubescens)は内花被片に毛があるのに対し、沖縄産のケスナヅルの内花被片は無毛であることが示された[6]。さらに分子系統解析からも、ケスナヅルはオーストラリア産の C. pubescens とは縁遠く、スナヅルC. filiformis)に含まれることが示された[3][6][7]。ただしスナヅルの中で、ケスナヅルは南西諸島や台湾フィリピンマリアナ諸島産の茎に毛がない個体からなる系統群とは明瞭に分けられる系統群を構成することが示されている[6][7]。そのため、2025年現在では、ケスナヅルはスナヅルの変種(Cassytha filiformis var. duipraticola)として扱われることが多い。また、分子系統解析からは、基準変種であるスナヅルとケスナヅルの間の雑種が存在することが示されている[7]

脚注

注釈

  1. ^ 伊是名島での地方名である[3]
  2. ^ 沖縄島での地方名であり、基準変種のスナヅルや別種のイトスナヅルを含めて区別せずによばれる[3]

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cassytha filiformis L. var. duripraticola Hatus.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年4月9日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cassytha pubescens auct. non R.Br.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年4月9日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 横田昌嗣・新里孝和・横田昌嗣 (2018). “ケスナヅル”. 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版 (菌類編・植物編). 沖縄県. pp. 159–160 
  4. ^ 米倉浩司 (2015). “スナヅル属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. p. 59. ISBN 978-4582535310 
  5. ^ ケスナヅル”. 琉球の植物. 国立科学博物館. 2025年4月9日閲覧。
  6. ^ a b c d e Kokubugata, G., Nakamura, K., Forster, P. I., Wilson, G. W., Holland, A. E., Hirayama, Y., & Yokota, M. (2012). “Cassytha pubescens and C. glabella (Lauraceae) are not disjunctly distributed between Australia and the Ryukyu Archipelago of Japan – evidence from morphological and molecular data”. Australian Systematic Botany 25 (5): 364-373. doi:10.1071/SB10040. 
  7. ^ a b c d Kokubugata, G., Kakishima, S., Chung, K. F., Ishii, C. & Yokota, M. (2024). “Reappraisal of intraspecific taxonomy of Cassytha filiformis (Lauraceae)”. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 75 (2): 85-96. doi:10.18942/apg.202408. 
  8. ^ Kokubugata, G., Kakishima, S., Chung, K. F., Fu, C. X. & Yokota, M. (2024). “New record of Cassytha filiformis var. duripraticola (Lauraceae) from Mainland China based on morphological and molecular data”. Bulletin of the National Museum of Nature and Science. Series B, Botany 50 (1): 33-40. doi:10.50826/bnmnsbot.50.1_33. 
  9. ^ a b ケスナヅル”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2025年4月9日閲覧。

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