グムンデン=ガスタイン交響曲の偽作
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「フランツ・シューベルト」の記事における「グムンデン=ガスタイン交響曲の偽作」の解説
シュトゥットガルトでD 849にあたるとされるホ長調の交響曲の筆写譜が「発見された」ことがある。この曲は、ギュンター・ノイホルト指揮のシュトゥットガルト放送交響楽団による演奏で録音され、南ドイツ放送でFM放送された。主題とその展開が『ザ・グレート』にそっくりで、シューベルトには『ロザムンデ』序曲の前によく似たD 590の序曲を書いていた前例があることから、スケッチのような意味で作ったという学説もあった。この曲は『ザ・グレート』と同じ素材と展開方法が使われ、下書き的役割を果たしたとも考えられた。 楽器編成はD 944とまったく同じであり(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット各2、トロンボーン3、ティンパニ1対、弦五部)、 第1楽章:Andante molto-Allegro(8分の6拍子 - 2分の3拍子、ホ長調、446小節) 第2楽章:Scherzo un poco agitato(4分の3拍子、嬰ハ短調、117小節) 第3楽章:Andante con moto(4分の2拍子、ホ短調、146小節) 第4楽章:Finale Presto(8分の6拍子、ホ長調、1066小節) からなる、演奏時間約50分の作品となっていた。現在シュトゥットガルトのゴルドーニ (Goldoni) 出版社からヴェルナー・マーザー (Werner Maser) 校訂による楽譜が入手できる。録音は上述のものに続いて、ゲルハルト・ザムエル指揮シンシナティ・フィルハーモニー管弦楽団によるもの(Centaur: CRC2139)も発売された。しかし後日、このD 849とされたホ長調の交響曲は、1973年にヘンレ社に楽譜のコピーを提供したグンター・エルショルツ (Gunter Elsholz) がシューベルトの残した断片を再構成した偽作であることが判明した。 このため、グムンデン=ガスタイン交響曲は『ザ・グレート』であるという説が現在も有力である。
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