ケスターカイギュウ
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ケスターカイギュウ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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サンディエゴ自然史博物館での展示
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
新第三紀中新世後期 - 鮮新世 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Hydrodamalis cuestae Domning, 1978 |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ケスターカイギュウ |
ケスターカイギュウ[1](学名:Hydrodamalis cuestae)は、約700万年前から約200万年前にかけて北太平洋東部域に分布した、絶滅した植物食性の海棲哺乳類の種[2]。海牛目ジュゴン科に属し、同じくステラーカイギュウ属である北太平洋西部域のステラーカイギュウやタキカワカイギュウと近縁である[2]。地質年代では新第三紀のうち後期中新世のメッシニアン期から後期漸新世のジェラシアン期にかけて生息した[2]。
分類と絶滅
ケスターカイギュウの化石は1978年にカリフォルニア州ピスモビーチに分布する後期更新世の堆積物から最初に発見され、後続の化石が同州の他の地点から発見されている[3]。約500万年前から約400万年前にかけて北太平洋西部息に生息したタキカワカイギュウ[2]と近縁である。
以下は、ドゥシシレン属とステラーカイギュウ属の種、およびハリテリウム属のHalitherium schinziiを含めた海牛目の類縁関係を示すクラドグラム[4]。
海牛目 |
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ケスターカイギュウの絶滅は第四紀氷期の始まりに関連する可能性が高い。海牛の主要な食料源として利用可能な海草は海水の冷却によって減少した可能性が高く、これにより海牛は種全体を維持できなくなったと見られる[3]。
生態と特徴

ケスターカイギュウは現生のステラーカイギュウやマナティーと同様に、おそらく社会性を持ち、小規模な家族集団で生活していた。彼らの骨は緻密であり、巨体が浮かび上がることを妨げるバラストとして機能した。これは彼らが浅海域の海底で海草を食餌することへの適応であった可能性が高い。彼らは海草やその他の海棲植物を好んでいたと見られる。ケスターカイギュウは浅い沿岸の海底を前肢で歩き、強力な尾鰭を推進に用いたと考えられている。ステラーカイギュウや他のカイギュウと同様に、前肢は食料資源を確保するためにも用いられたと推測されている。ケスターカイギュウは最大級のカイギュウの1つであり、全長は9メートルに達し、体重は10トンに達した可能性がある。体は紡錘形で、頭部と尾が先細っていた[3][5]。
タキカワカイギュウとの間では、大脳の形状や視神経の配置に差異が見られる。ケスターカイギュウの視神経は三叉神経から隔てられ、その腹側に位置する。対してタキカワカイギュウの視神経は三叉神経に隣接し、その背内側に位置する[6]。
出典
- ^ “keitouzu”. 札幌市. 2025年8月17日閲覧。
- ^ a b c d 古沢仁「海牛の大型化に関する考察」『化石研究会会誌』第45巻第2号、2013年、55-60頁、doi:10.60339/kasekiken.45.2_55。
- ^ a b c Domning, Daryl P. (1978). “An Ecological Model for Late Tertiary Sirenian Evolution in the North Pacific Ocean”. Systematic Zoology 25 (4): 352–362. doi:10.2307/2412510. JSTOR 2412510.
- ^ Furusawa, Hitoshi (2004). “A phylogeny of the North Pacific Sirenia (Dugongidae: Hydrodamalinae) based on a comparative study of endocranial casts”. Paleontological Research 8 (2): 91–98. doi:10.2517/prpsj.8.91.
- ^ “Hydrodamalis cuestae” (Russian). Age of Mammals (2013年). 2013年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月2日閲覧。
- ^ Furusawa, Hitoshi (April 2004). “A phylogeny of the North Pacific Sirenia (Dugongidae: Hydrodamalinae) based on a comparative study of endocranial casts”. Paleontological Research 8 (2): 91–98. doi:10.2517/prpsj.8.91. ISSN 1342-8144 .
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