カラスとしてのジャヤンタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/15 09:23 UTC 版)
「ジャヤンタ」の記事における「カラスとしてのジャヤンタ」の解説
『ラーマーヤナ』の第5巻「スンダラ・カーンダ」にてハヌマーンがシーターに出会う場面で彼女はチトラクータ(Chitrakuta)の森で起きた出来事について語る。アヨーディヤーの王子でありヴィシュヌ神の化身であるラーマ、そして彼の妻のシーター(ヴィシュヌの妻、ラクシュミーの化身)、そしてラーマの兄弟ラクシュマナの3人は森を放逐される。疲れ果てたラーマはシータの膝の上で微睡んでいた。そこへカラスが飛んできてシーターの足を2度突っついた。シーターの身じろぎに目を覚ましたラーマは、爪から血を滴らせているカラスがインドラの息子であると看破する。激怒したラーマは、シーターに使嗾され聖なる武器ブラフマーストラ(Brahmastra、草が形を変えた矢状の武器)を、恐れおののき飛び立ったカラスめがけて解き放った。どこまでも追ってくるブラフマーストラから逃れようとカラスは世界を飛びまわる。インドラのもとを、神々を、そして聖仙たちを次々に巡り、挙句にラーマのもとへと逃げこみ降伏した。インドラの息子は赦しを請うが、ラーマは一度解き放ったブラフマーストラを収めることはできないと告げる。ならばとインドラの息子はせめて右目にのみ衝突するようにしてほしいと懇願し、以来彼は片目を失った。この挿話の中にはジャヤンタという名前は一度も出てこないが、ゴーヴィンダラージ(Govindaraja)によるティラーカ(Tilaka)やブシャーナ(Bhushana)のような注釈書では「インドラの息子」をジャヤンタと特定している。注釈書によっては必ずしも『ラーマーヤナ』における「インドラの息子」をジャヤンタとしては扱っていないが、ゴーヴィンダラージはジャヤンタのみがインドラの息子として認知されているとしている。 『ラーマーヤナ』の挿話以外にも、場合によって乳海攪拌のエピソードの中にカラスの姿のジャヤンタが語られることがある。乳海から溢れ出る不老不死の霊薬アムリタを巡って神々とアスラとの間で争いが起きたとき、一度はアスラがアムリタの壺を奪うが、カラスに扮したジャヤンタは彼らから壺を奪い返す。ジャヤンタは12日間にわたり休みなく飛び回り、その間に地上の4カ所に立ち寄ったとされる。すなわち、プラヤーグ、ハリドワール、ウジャイン、ナシクである。この出来事を祝し、これらの地では12年に1度クンブ・メーラが開催されている。
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