エルベク・ハーン説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 00:18 UTC 版)
「マイダリ・バラ」の記事における「エルベク・ハーン説」の解説
近年になってブヤンデルゲルが主張しており、マイダリ・バラをトグス・テムルの三代後のハーン、エルベク・ニグレスクチ・ハーンに比定する説。この説の論点は主に2点で、1つめは前述したように「トゴン・テムルの孫でアユルシリダラの息子」というマイダリ・バラの年齢を考えた時、トグス・テムルよりもエルベク・ハーンに比定する方が自然なこと。2つめは両者の名前の類似で、「マイダリMaidari」は弥勒を意味する単語で「慈しみある者」といった意味を持つ。一方、「エルベク・ニグレスクチElbeg nigülesügči」という名称は、「エルベクElbeg」が「〜に富む」、「ニグレスクチnigülesügči」が「慈しみある心」をそれぞれ意味し、2つを併せると「慈しみある心を持つ者」といった意味になり、「マイダリMaidari」と同じ意味を持つ名前になる。 この説に従えばエルベク・ハーンはアユルシリダラの息子でクビライ家の一員ということになり、クビライの血を引くとされるダヤン・ハーンの祖先に位置づけるモンゴル年代記の記述とも合致する。また、『蒙古源流』などの伝える北元ハーンの系図はクビライ家とアリク・ブケ家のハーンが混ざっており信憑性の低いものであるが、エルベク・ハーン=マイダリ・バラと考えると、(1)ウハート・ハーン,(2)ビリクト・ハーン,(3)エルベク・ハーン,(4)ハルグチュク・ホンタイジ,(5)アジャイ・タイジ,(6)アクバルジ・ジノン,(7)ハルグチュク・タイジ,(8)ボルフ・ジノン,(9)ダヤン・ハーンと一本筋の通った系図を描くことができる。
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