エリアイ (レーダー)とは? わかりやすく解説

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エリアイ (レーダー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/10 15:44 UTC 版)

FSR-890 エリアイ
スウェーデン空軍のサーブS100B
種別 3次元レーダー (フェーズドアレイレーダー)
目的 対空捜索
開発・運用史
開発国  スウェーデン
就役年 1996年
送信機
周波数 Sバンド
アンテナ
形式 アクティブ・フェーズドアレイ (AESA)
直径・寸法 全長8 m×幅0.6 m
アンテナ利得 36.5 dBi
ビーム幅 幅0.7度×高さ9度
方位角 全周走査可能
(性能発揮は両脇150度ずつ)
探知性能
探知距離 240 nmi (440 km) (最大)
180 nmi (330 km) (戦闘機)
80 nmi (150 km) (巡航ミサイル)
探知高度 20,000 m (66,000 ft)
その他諸元
重量 900 kg
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エリアイ英語: Erieye)は、エリクソン・マイクロウェーブ・システムズ社(現在のサーブ・マイクロウェーブ・システムズ社)が開発した3次元レーダーフェーズドアレイレーダー)。航空機搭載用の早期警戒レーダーとして用いられ、形式名は当初はPS-890、後にはFSR-890[1]、現在ではASC-890となっている[2]スウェーデン空軍S100B「アーガス」早期警戒機の場合、機体を含めて単価は約34億円程度とされる[3]

来歴

スウェーデン軍では1970年代より早期警戒機について検討していたが、当初は戦闘機に捜索ポッドを搭載する方式が検討されていた[2]。その後、1982年にマルガレータ・アフ・ウグラス議員議会に提出した案に基づき、ターボプロップ輸送機に背負式にレーダーを搭載する方針に転換した[2]。1985年、エリクソン社は、スウェーデン国防省防衛資材局(FMV)より早期警戒機用のレーダーの開発を受注した[2]。この注文ではアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ(AESAアンテナ)を用いることを求めており、先見の明があった[2]

試験の段階ではフェアチャイルド メトロIII(Tp.88)が搭載母機として選定され、早くも1982年にはFMVからメトロIIIの早期警戒機版の開発が発注されており、1983年にはダラスリング・テムコ・ボート社の施設を用いて風洞試験も行っていた[1]1986年にFMVが試験の発注を行い、同年10月よりエリアイのモックアップを搭載して試験を行った後、1987年10月にはスウェーデンに回航され、1991年5月よりレーダーの実機を搭載しての試験が開始された[1]。この時点では機上信号処理は行われていなかったが、1992年からは機上信号処理も行われるようになった[2]

1992年12月、FMVはエリクソン社に対し、12億クローナで6セットを発注した[4]。実用機では、搭載母機としてはサーブ 340が選定され、1993年より生産が開始されて、1996年から1999年にかけて引き渡された[4]

設計

本機は、航空機の上方に棒状のアンテナを搭載する、いわゆる「バランスビーム」型の捜索レーダーの代表格とされている[3][5]。アンテナを収容した全長 約9メートルのポッドは4本の支柱によって支えられており、内部にはアクティブ・フェイズドアレイ(AESA)型アンテナとともに、レーダー機器や補助動力装置(APU)を収容している[3][5]。またポッドの前後には、これらの機器を冷却するための吸排気口が設けられている[3][6]

このような設計から、基本的には側面監視機上レーダー英語版(SLAR)であり、当初はポッドの両側面に設けられたアンテナ1面ごとに、方位角にして120度ずつ(合計で240度)しか監視できなかった[3]。後には全周走査可能となったものの、やはり前後方に死角ができやすく、理想的な探知性能を発揮できるのは両脇150度ずつとされている[6][7]

レーダー関連の機材のほとんどがポッド内に収容されていることから、航空機のキャビンには、コンソールとパワーユニットなどが配置される程度であり、30席級のリージョナルライナーであれば十分に搭載可能なコンパクトなシステムとなっている[3]。オペレータは、搭載母機が小型のサーブ 340であれば3名、比較的余裕があるサーブ 2000エンブラエル ERJ 145であれば5名が配置される[6]。またリンク 11リンク 16による戦術データ・リンクにも対応している[8]

なおエリアイの発展型として開発されたエリアイERでは、搭載母機としてはグローバル 6000が選ばれており、機体を含めたAEW&C機全体としてはグローバルアイ英語版と称される[2][5]。スウェーデン空軍も、S100Dの後継として導入予定であり、S106の形式名が与えられる[5]

搭載機と採用国

脚注

出典

参考文献

関連項目




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