エメルの生涯たった一度の嫉妬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 14:27 UTC 版)
「エメル」の記事における「エメルの生涯たった一度の嫉妬」の解説
クー・フランはその美しさゆえに、周りには常に女性がついて回った。エメルは基本的にクー・フランの浮気に寛容だったが、たった一度、嫉妬の炎で怒り狂ったことがある。その詳しい様子は物語「クー・フランの病とエメルのたった一度の嫉妬」にて語られている。この物語は『赤牛の書』と15~16世紀ごろの写本に残されているが、本来は二つの違った物語をひとつにまとめようとした作品と考えられている。前半ではクー・フランの妻はエトネとされ、後半ではエメルとされている。この物語は幻想的な雰囲気もあいまって人気があり、近現代のアイルランドの作家たちによって再話・翻案もされている。エメルが登場する後半のあらすじは以下の通り。 ある日クー・フランは、妖精リー・バンの夫ラヴリドと出会う。ラヴリドは自分たちの敵と一日戦えば、妻の姉妹、妖精ファンと一月共に過ごせると約束した(ファンはクー・フランを慕っていた)。クー・フランは見事敵を討ち果たしたが、事の成り行きを知ったエメルは怒り狂い、50人の侍女たちと共に妖精ファンに復讐しようと押しかける。エメルの話を聞いたクー・フランは、エメルと一生共に生きることを誓う。二人が愛し合っていることを目の当たりにしたファンは、自分をこの場に置き去りにするようにと言うが、それを聞いたエメルはファンの無私の愛を悟り、自分こそがクー・フランを諦めると言った。すると、突然ファンの夫、海神で妖精の王マナナーン・マク・リルが現れ、ファンを連れ去ってしまった。 その後、クー・フランは失恋の痛みから飲まず食わずだったが、エメルがコンホヴァルに事の次第を告げると、王はドルイドたちを遣わした。彼らはクー・フランとエメルに忘れ薬を飲ませ、クー・フランの失恋の痛みと、エメルの嫉妬を忘れさせた。マナナーンはクー・フランとファンの間で魔法の外套を振って、彼らが永遠に二度と会えないようにした。
※この「エメルの生涯たった一度の嫉妬」の解説は、「エメル」の解説の一部です。
「エメルの生涯たった一度の嫉妬」を含む「エメル」の記事については、「エメル」の概要を参照ください。
- エメルの生涯たった一度の嫉妬のページへのリンク