エノラーゼの作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:48 UTC 版)
プラスミノーゲン受容体 αエノラーゼは解糖系の中心的な酵素としてだけではなく細胞膜内外の多くの分子と結合し様々な病態に関与している多機能蛋白質として考えられるようになっている。多機能の多くはプラスミノーゲン受容体であることに由来している。プラスミノーゲン受容体としてのαエノラーゼの最も重要な役割は他の受容体と同じく、細胞表面でのプラスミノーゲンのプラスミンへのタンパク分解的な活性化の促進とその保持による活性の安定化である。またプラスミンは細胞外蛋白質の分解だけでなく、その膜結合依存性に細胞内シグナル伝達経路の活性化を引き起こすことが知られている。また細胞外のαエノラーゼは自己抗体に対する標的となり、免疫複合体の形成、補体の活性化などを通して組織障害を誘導することになる。 細胞内αエノラーゼの役割 細胞内αエノラーゼは解糖系酵素としての側面、細胞骨格蛋白質結合、転写因子、ストレス応答蛋白質としての側面がある。あらゆる細胞において生存のための解糖系の酵素としてのαエノラーゼの重要性に変わりはない。特に癌細胞の代謝の特徴である好気的条件下での解糖系依存性のATP合成の亢進(ワールブルグ効果)は近年その分子的機構が解明が進んでいる。その中のひとつにαエノラーゼの発現亢進がある。またエノラーゼを含む多くの解糖系はアクチンや微小管と結合して集合しており、効率的な解糖反応の進行に重要と考えられている。
※この「エノラーゼの作用」の解説は、「甲状腺自己抗体」の解説の一部です。
「エノラーゼの作用」を含む「甲状腺自己抗体」の記事については、「甲状腺自己抗体」の概要を参照ください。
- エノラーゼの作用のページへのリンク