ウイルス感染における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 09:49 UTC 版)
「インターロイキン-21」の記事における「ウイルス感染における役割」の解説
IL-21は、持続的なウイルス感染の制御に重要な役割を果たしている可能性がある。慢性リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)感染中のIL-21(またはIL-21R)ノックアウトマウスは、通常のマウスと比較して慢性感染を克服することができない。さらに、これらのIL-21シグナル伝達が機能しないマウスではLCMV特異的なCD8+T細胞の枯渇がより劇的となることから、CD4+T細胞によって産生されるIL-21がCD8+T細胞の持続的なエフェクター活性に必要であり、ウイルスの持続感染を克服するための免疫の維持に必要であることが示唆される。このように、IL-21は、CD4+ヘルパーT細胞がウイルス感染に対する免疫系の応答を組織化する機構に寄与していると考えられる。 HIV感染者では、IL-21はHIV特異的な細胞傷害性T細胞応答とNK細胞の機能を大きく改善することが報告されている。また、「HIVコントローラー」(無治療でもウイルスの複製を制御し、AIDSへの進行が起こらない稀な人)のHIV特異的CD4+T細胞は、AIDS進行者よりも有意に多くのIL-21を産生することが示されている。さらに、IL-21を産生するウイルス特異的CD8+T細胞もHIVコントローラーに選択的に見られた。こうしたデータや、in vitroではIL-21で刺激したCD8+細胞やNK細胞がHIVの複製を抑制できることは、このサイトカインが抗HIV治療薬として有用である可能性を示している。
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