イスラム教国内での非ムスリムの自由・財産・生命の権利の制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:03 UTC 版)
「シャリーア」の記事における「イスラム教国内での非ムスリムの自由・財産・生命の権利の制限」の解説
イスラーム法において、イスラームの統治する地域(ダール・アル=イスラーム)に居住する異教徒にはズィンミーとして一定の権利保障が与えられる。彼らは自身の宗教を保持することが許され、生命権や財産権も保障される。 しかしここで保障される「信仰の自由」は、近現代におけるそれに比べると制限の厳しいものである。ズィンミーは信仰の内面的保持(内心の自由)は完全に保障されているが、信仰の表明(宗教的な表現・結社の自由)に関しては厳しい制限があり、ムスリムの前で二等市民として控えめに振舞うことが要求されている。具体的には、 教会の新築が原則禁止され、修理や増築にも制限がつくこと 宗教儀礼のうちいくつかはムスリムの感情を害するとして禁止されたこと、 自己の宗教的信条をムスリムの前であからさまに主張した場合、イスラーム・ムハンマドへの批判として死刑に処される場合があったこと などがあげられる。 そのほかにも、ズィンミーはジズヤと呼ばれる特別の税金を支払わなければならず、時代・地域によっては衣服などに特別のしるしをつけさせられたり、馬への騎乗が禁止される場合もあった。またズィンミーの生命権も、ムスリムの生命権より軽く見られることが多く、ハナフィー学派を除き、ズィンミーを殺したムスリムに死刑は科されない。 現在多くの国でズィンミー制は公式には廃止されているが、イスラム国家を名乗るいくつかの国家では今なお非ムスリムへの厳しい政策が採られることもある。
※この「イスラム教国内での非ムスリムの自由・財産・生命の権利の制限」の解説は、「シャリーア」の解説の一部です。
「イスラム教国内での非ムスリムの自由・財産・生命の権利の制限」を含む「シャリーア」の記事については、「シャリーア」の概要を参照ください。
- イスラム教国内での非ムスリムの自由・財産・生命の権利の制限のページへのリンク