アーケン石に関する考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 09:59 UTC 版)
「アーケン石」の記事における「アーケン石に関する考察」の解説
アーケン石は、初期の原稿においては、「ギリオンの宝石」(the gem of Girion)となっていた。 ダグラス・アンダーソンおよびジョン・ラトリフが指摘しているように 、『ホビットの冒険』のアーケン石と『シルマリルの物語』の宝石シルマリルは、非常に似通った描写をされている。 地の底最も深く設けられた宝庫の闇の中にあってさえ、シルマリルはそれ自身の光で、あたかもヴァルダの星々の如く輝いたのである。しかもなおシルマリルは、まことに生けるものであるが故に、光を喜び、受けた光を照り返し、さらに陸離たる光彩を放つのであった。 トールキンは、自らの神話作品The Earliest Annals of Valinorの古英語のヴァージョンを書いているが、この中で、アーケン石の語源であるeorclanstānasという単語を、シルマリルの宝石に用いている。 ゴート語のaírkna-stáinsの「聖なる石」という概念は、シルマリルにも相当するものである。また、シルマリルに対するフェアノールの激しい所有欲と、アーケン石に対するトーリンのそれとも共通し、両者の悲劇の元となっている。『ホビットの冒険』の執筆時において、トールキンが自らの神話作品のシルマリルをアーケン石として「引用」したという解釈もある。 またラトリフが指摘しているように、『ホビットの冒険』においてビルボがアーケン石を偶然発見し、ポケットに収めた行為は、ビルボの指輪発見の状況とも共通している。『ホビットの冒険』における指輪は、ゴクリの執着ぶりにその片鱗が認められるものの、『指輪物語』におけるような抗しがたい所有欲を引き起こし、影響力を振るうものではない。『ホビットの冒険』でアーケン石に与えられたその魔力が、『指輪物語』における指輪に引き継がれたと解釈することもできる。
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